メキシコ0.5%の利上げ~高まるインフレリスク

2017/02/10 <>
  1. BOMは政策金利を5.75%から6.25%へ引き上げました。1512月より、累計3.25%の利上げです。
  2. 対米リスクの高まりで減価したペソに加え、ガソリン価格の大幅引き上げでインフレが高騰しました。
  3. ペソは、トランプ米大統領就任式前につけた史上最安値から一転し、値を戻しつつあります。

44ヵ月ぶりの高いインフレ率

2月9日、BOM(メキシコ銀行)は定例理事会を開き、政策金利(オーバーナイト金利)を5.75%から6.25%に引き上げる決定をしました。15年12月より7回目、累計3.25%の利上げとなります。悪化したインフレ見通しを抑制することが狙いです。

1月のCPIは、前年同月比+4.72%と、12月の+3.36%から急騰し、4年4ヵ月ぶりの高い伸びとなりました。予想よりもペースが早まった米利上げ観測や、対メキシコに強硬姿勢を崩さないトランプ政権誕生により、ペソは対ドルで大きく減価し、物価を押し上げました。さらに、赤字経営に苦慮するペメックス(メキシコ石油公社)が、規制緩和を機に、年初からガソリン価格を20%引き上げたことも、インフレ高騰に追い打ちをかけました。中銀はインフレ見通しを、17年中は目標上限の+3%を超えで推移し、18年末に3%近くに収斂するとしており、物価抑制を最優先するため、当面は引き締めバイアスを続けると思われます。

2.10.1

 

ペソは史上最安値より反発

トランプ米大統領が掲げる通商、移民政策などに対する先行き不透明感から、ペソは米大統領就任式前の1月19日に、史上最安値の1ドル22ペソを超える水準まで売られました。ただその後は、NAFTA(北米自由貿易協定)再交渉や「国境の壁」建設に関する大統領令発布にもかかわらず、悪材料出尽くしで値を戻しています。

米国のTPP離脱やNAFTA再交渉といった、通商政策路線の変更を受け、メキシコはブラジル、アルゼンチンなど、南米南部共同市場(メルコスール)の関税同盟国との通商関係強化に向けた動きもあり、米国外での市場拡大の好機も出てきました。ペソ安によって、輸出競争力も増しています。目先は、トランプ大統領の「つぶやき」等で不安定な展開が続くことが予想されますが、継続的な利上げによる金利面での妙味向上や、原油相場の反発を追い風に、底堅さ増すことが期待されます。

2.10.2

 

 

アムンディ・マーケットレポートはこちら

http://www.amundi.co.jp/report/list.html

アムンディ・ジャパン株式会社
グローバル経済、金融政策、マーケットなどの動向、展望を、投資家の皆様に向けてタイムリーに分かりやすく解説します。本体であるアムンディ・パリからの経済、市場等の見通しも随時ご紹介します。
当資料は、アムンディ・ジャパン株式会社(以下、弊社)が投資家の皆さまに情報提供を行う目的で作成したものであり、投資勧誘を目的に作成されたものではありません。当資料は法令に基づく開示資料ではありません。当資料の作成にあたり、弊社は情報の正確性等について細心の注意を払っておりますが、その正確性、完全性を保証するものではありません。当資料に記載した弊社の見通し、予測、予想意見等(以下、見通し等)は、当資料作成日現在のものであり、今後予告なしに変更されることがあります。また当資料に記載した弊社の見通し等は将来の景気や株価等の動きを保証するものではありません。

アムンディ・ジャパン株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第350号
加入協会:一般社団法人 投資信託協会/一般社団法人 日本投資顧問業協会/日本証券業協会/一般社団法人 第二種金融商品取引業協会