英国の16年10-12月期GDP速報と今後の経済・為替見通し

2017/01/27 <>
  1. 実質GDP成長率は前期比年率+2.4%でした。通貨安で製造業や観光業が改善し、堅調でした。
  2. 経済成長率は上方修正方向ですが、17年はインフレ進行が内需を抑制し、減速すると予想しています。
  3. EU離脱交渉の進展まで金融緩和は維持される一方、景気は底堅く、英ポンドを下支えしそうです。

16年は+2%に届く

26日に英国家統計局が発表した16年10-12月期の実質GDP成長率は前期比年率+2.4%でした。+2%超の成長ペースはこれで3期連続となり、16年は前年比+2.0%と、速報段階ですが、3年ぶりの+1%台への減速を免れました。

業種別の動向を見ると、製造業が前期比+0.7%と2期ぶりにプラス転換、ホテル・外食サービスといった観光関連業種が同+1.7%と堅調でした。いずれも、通貨安によって輸出競争力が高まったほか、旅行コストの低下で外国人の旅行需要を刺激したと見られます。ただし、17年については、通貨安によるインフレ率上昇が実質所得の伸びを抑えるため、内需を中心に減速すると予想しています。

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英ポンド安がもたらした景気回復が逆に英ポンドを下支え

EU(欧州連合)からの離脱を選択した英国は、ビジネスチャンスの流出懸念から経済活動が委縮すると懸念されました。しかし、通貨安が景気を活性化させました。これは、日本が「アベノミクス」初期での急速な円安が景気押し上げの一因になったことと基本的には同じと思われます。

今後は、英ポンド安がもたらした英国の景気回復が、逆に英ポンドのこれ以上の下落を下支えると考えられます。EUとの離脱交渉の行方、EU残留を希望していたスコットランドで独立気運が強まるなど、英ポンドをめぐる環境は依然として不透明であり、昨年6月の国民投票前の水準まで戻すのは難しいと思われますが、当面は現状の相場水準(対ドル)近くで落ち着く展開になると思われます。

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