日銀短観(16年12月調査)について

2016/12/14 <>
  1. 業況判断DIは全般的に底堅い動きでした。ドル高・円安進行による収益環境の好転が影響しました。
  2. 設備投資に対する積極性は依然として認められない一方、人手不足感がさらに増しています。
  3. 円安や景気対策の効果に加え、賃金底上げが実現するかどうかが、業況改善へのカギと思われます。

円安へ転じ、業況が改善へ

日銀短観とは、全国で1万社余りの企業から、業況、雇用など各種情勢判断や収益、投資等の計画を集計したものです。特に業況判断DIは、景気の現状と先行きへの判断材料として注目されます。

業況判断DI(最近)は、大企業製造業が前回調査比+4ポイントの+10、大企業非製造業が同横ばいの+18でした。中堅、中小企業も含め、前回調査時点での先行き判断DIより2~6ポイント高くなりました。米大統領選挙後の調査のため、急速に円安に転じたことによる収益環境の好転がDIを押し上げたと見られます。

大企業製造業の16年度下期の想定為替レートが、1ドル103.36円と、前回調査の107.42円からさらに円高へ修正されました。しかし、ドル・円相場が110円台に乗せて想定を上回ってきたため、企業業績が上振れする可能性が出てきました。16年度の経常利益計画(全規模全産業)は前年比-8.2%と、前回調査の-8.1%から小幅ながら下方修正されました(次ページ図参照)。しかし、足元の為替水準が続けば、最終的にマイナス幅が縮まることも考えられます。

201612141201612142201612143

設備投資は次年度のさらなる積極化に期待

16年度の設備投資計画(全規模全産業)は前年比+1.8%と、前回調査比0.1ポイント上方修正されました。実績は微増にとどまる公算が大きくなっています。今年度の業績悪化の影響もあると思われますが、企業は依然として設備投資に慎重です。しかし、企業の設備は徐々に不足状態に向かっているため、次年度に上向く可能性も十分にあります。

一方、雇用不足がさらに強まっています。雇用人員判断DIは、最近が-21、先行きが-23でした。最近を規模別業態別で見ると、製造業よりも非製造業で、大企業よりも中堅・中小企業で人員不足が深刻化している様子をうかがえます。

為替相場が円安に転じて企業業績に対する安心感が増し、景気対策効果も今後期待されます。こうした中、中堅・中小企業を中心に人員不足が賃金底上げにつながるかどうかが、業況をさらに押し上げるカギになると思われます。

201612144201612145

アムンディ・マーケットレポートはこちら

http://www.amundi.co.jp/report/list.html

アムンディ・ジャパン株式会社
グローバル経済、金融政策、マーケットなどの動向、展望を、投資家の皆様に向けてタイムリーに分かりやすく解説します。本体であるアムンディ・パリからの経済、市場等の見通しも随時ご紹介します。
当資料は、アムンディ・ジャパン株式会社(以下、弊社)が投資家の皆さまに情報提供を行う目的で作成したものであり、投資勧誘を目的に作成されたものではありません。当資料は法令に基づく開示資料ではありません。当資料の作成にあたり、弊社は情報の正確性等について細心の注意を払っておりますが、その正確性、完全性を保証するものではありません。当資料に記載した弊社の見通し、予測、予想意見等(以下、見通し等)は、当資料作成日現在のものであり、今後予告なしに変更されることがあります。また当資料に記載した弊社の見通し等は将来の景気や株価等の動きを保証するものではありません。

アムンディ・ジャパン株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第350号
加入協会:一般社団法人 投資信託協会/一般社団法人 日本投資顧問業協会/日本証券業協会/一般社団法人 第二種金融商品取引業協会