ユーロ圏の11月物価、10月雇用情勢
2016/12/02
<投資信託>
- 10月の失業率は9.8%、約7年ぶりに10%を割り込みました。主要国の改善が大きく寄与しました。
- 11月のHICP総合は前年同月比+0.6%と年初来最大のプラス、コア指数に近付いています。
- 雇用環境改善は遅れて物価に波及し、HICPは17年前半中にも+1%台に乗せてくると期待されます。
大幅な失業者数減少を伴った雇用環境改善
Eurostat(EU統計局)が12月1日に発表した10月の失業率は9.8%でした。9月も10.0%から下方修正されて9.9%と09年8月以来約7年ぶりに10%を割り込みました。
国別ではドイツが4.1%と東西統一後の最低を更新、フランスは9.7%と約4年ぶりの低水準、イタリアは11.6%と高めですが同じく約4年ぶりの低水準です。ほか、ベルギー、オランダ、アイルランド、オーストリアといった中規模国でも低下が目立ちました。主要国を中心とした失業率低下は失業者数の大幅な減少につながります。10月は前月比-17.8万人と今年2番目に大きな減少幅となりました。粘り強い金融緩和の継続の効果が、着実に雇用環境の改善という形になっていることがうかがわれます。
物価への波及、量的緩和の延長ならばさらに大きな効果も
11月30日に発表された11月のHICP(速報)は、総合が前年同月比+0.6%、コアは同+0.8%でした。エネルギー価格下落効果の剥落が続き、総合とコアが近付いています。
失業率とインフレ率(HICPコア前年同月比)との関係を見ると、雇用環境の動きに対して半年から1年程度遅れて物価へと波及する傾向があります。失業率10%割れに相当するインフレ率はおおむね+1.0~1.5%であり、17年の半ばには+1%台に乗せてくることが期待されます。12月8日のECB(欧州中央銀行)理事会で、量的金融緩和が延長されれば、雇用拡大を通じ、中長期的にさらにインフレ率を押し上げる方向に働くと思われます。
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