メキシコ今年4回目の利上げ~高まる米国リスク
- BOMは政策金利を4.75%から5.25%へ引き上げました。昨年12月より、累計2.25%の利上げです。
- 予期せぬトランプ次期米政権の誕生によって、世界的な金融市場の不透明感が高まったためです。
- ペソはトランプ氏勝利報道時に暴落し、史上最安値をつけるなど、当面は荒い値動きが続く見込みです。
米国リスク高まる
11月17日、BOM(メキシコ中央銀行)は定例理事会を開き、政策金利(オーバーナイト金利)を4.75%から5.25%に引き上げる決定をしました。昨年12月より5回目、今年に入ってから4回目、累計2.25%の利上げとなります。
今回の利上げは、従来から警戒している米国の金融正常化による米国金利上昇リスクに加え、大方の市場予想を覆したトランプ次期米政権の誕生によって新たなリスクが加わり、大暴落したメキシコペソ(以下、ペソ)を下支えするためです。トランプ次期米大統領は、移民、貿易面で対メキシコ強硬姿勢を公約で示しており、特に米国との密接な関係にあるメキシコ経済への不透明感が高まっています。実際、米大統領選挙開票速報でトランプ氏がリードとの報道を受け、ペソは暴落し、一時1ドル=20ペソを超える史上最安値をつけました。その後、トランプ氏の謙虚な姿勢を受けて急回復に転じるなど、不安定な値動きが続いています。また、10月CPIも前年同月比+3.06%と中銀目標の+3%を上振れており、通貨安の影響は今後も物価圧力増大に寄与するため、市場では12月15日会合でのさらなる追加利上げ観測が高まっています。
米国経済の加速は、メキシコにとって恩恵も
米大統領選挙後の不安定な金融市場を受け、政府は外貨準備や石油収入を原資とした基金の活用や、国内銀行の健全性を強調するなど、全力で対応する姿勢を掲げています。
一方、トランプ次期大統領が掲げる減税、インフラ投資政策は米国経済を加速させ、メキシコはじめ新興国経済への追い風となる可能性も出始めました。米国の貿易政策をめぐる不透明感が払しょくされ、市場が落ち着きを取り戻せば、相対的に高い金利や原油価格の底打ちが見直され、史上最安値圏にあるペソの反発余地も出てくると思われます。
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