10月の雇用統計について(米国)

2016/11/07 <>
  1. 非農業部門雇用者数は前月比+16.1万人でした。雇用はやや緩やかながら順調に増加しています。
  2. 広義の失業率は年初来最低で、雇用回復が十分に行き渡っていない状況も着実に改善しています。
  3. 時間当たり賃金が前年比+2%台後半で定着しつつあり、利上げを後押しする材料が増えました。

雇用のたるみ解消着々

11月4日、米労働省が発表した10月の雇用統計では、非農業部門雇用者数は前月比+16.1万人でした。+2%程度という、過去の米国と比べるとやや低めな成長の下で、雇用の増加ペースもやや緩やかですが、順調に増加しています。

また、失業率は4.9%と、前月比-0.1ポイントでした。最近半年はほぼ横ばいの状態です。一方、不本意な形で求職活動を諦めている人、またはパートタイムに甘んじている人を広義の失業者にカウントした場合の広義の失業率は9.5%、失業率との差は4.6ポイントと、いずれも年初来最低となりました。また、雇用回復が十分に行き渡っていない一因とされている長期失業者(失業期間が半年超)の割合も年初来で最低近辺となっています。

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持続的な雇用環境改善の賃金への波及鮮明

賃金が堅調です。民間企業の時間当たり賃金は前年同月比+2.8%と年初来最高となり、09年半ばから始まった今回の景気拡大局面全体でも最高です。これに応じてインフレ率も徐々に上昇しています。

これまで、雇用環境が改善しても賃金の伸びが低位にとどまることが長く続いてきました。しかし、広義の失業率と失業率との差が5%を割り込んできた15年後半頃から徐々に伸び率が高まってきました。これは過去の経験則とほぼ整合します。今回の雇用統計の結果で、年内の利上げを後押しする材料がまた一つ増えたと見られます。

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