ユーロ圏の16年7-9月期GDP速報
2016/11/01
<投資信託>
- 実質GDP成長率は前期比年率+1.4%でした。個人消費主導で、景気は底堅く推移しています。
- Brexitの当初の影響は限定的でした。先行きは内需刺激効果の剥落で緩やかな減速が予想されます。
- 強力な金融緩和、国によってやや拡張的な財政で景気、雇用、物価の押し上げが続けられそうです。
杞憂に終わったBrexitによる経済活動萎縮の懸念
Eurostat(EU統計局)が10月31日発表した16年7-9月期の実質GDP成長率(速報)は前期比年率+1.4%でした。4-6月期(同+1.2%)とほぼ同じでした。
GDPの内訳は未発表ですが、各経済指標では、ユーロ圏の小売売上高が、4-6月期の前期比+0.9%に対し、7-8月平均では同+1.7%と加速しています。また、企業活動については、在庫調整が一巡し、年初から伸び悩んでいた鉱工業生産に底打ちの兆しが出ています。外需(純輸出、輸出-輸入)は大幅黒字傾向ながら黒字幅は4-6月期とほぼ同水準と見込まれます。総じて見ると、個人消費主導の緩やかな成長です。
Brexit(英国のEU離脱)を警戒した経済活動萎縮への懸念は限定的でした。これは、英ポンド下落によって、却って英国の景気が刺激されたことによる安心感もありますが、原油安やユーロ高是正による内需押し上げ効果が持続していることも影響していると思われます。
景気押し上げ要因の剥落を政策でカバーへ
アムンディでは、16年の実質GDP成長率は+1.5%、17年を+1.3%と予想しています。緩やかな景気拡大が続くものの、原油安、ユーロ高是正が内需を押し上げる効果が剥落し、徐々に減速する方向を見込んでいます。ただし、17年については、夏場までの予想であった+1.2%から若干上方修正しました。英国経済への懸念が和らいだことが要因です。
ECB(欧州中央銀行)が、+2%弱のインフレ目標を目指してマイナス金利+量的緩和を粘り強く続けるほか、財政面でも震災のあったイタリアやまだデフレ圧力の強いスペイン、歳出増加の余裕があるドイツなど、国によっては拡張的な財政が容認される方向にあります。金融、財政両面から景気、雇用、物価の押し上げが続けられそうです。
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