英国経済動向、EU離脱問題アップデート
下方修正されたものの、経済見通しは依然として先進国で高水準
2016年1-3月期の実質GDP成長率は前年同期比+2.1%と低水準にとどまりました。個人消費など内需主導の成長は変わりません。
世界の経済成長率見通しは下方修正方向にあり、英国も例外ではありません。アムンディは2016年を+1.8%と予想しています。昨年末時点では+2%台前半でした。しかし、先進国では最高の米国(+2.0%)に次いで高水準の見通しであることには変わりなく、年後半には加速に転じると見込んでいます。
物価環境改善に加え、財政も健全さ増す
基礎的な経済データも着実に改善を示しています。インフレ率は上下しながらもプラス幅を拡大しています。CPIは、原油価格下落の影響を除くコア指数では前年同月比+1.2%(4月)となっており、景気が減速気味な中で改善は緩やかですが、今後+1%台半ば以上もありそうです。
また、先進国の中では高い経済成長を続けてきたため、財政の改善も順調です。財政収支(12カ月累積)の対名目GDPは3.98%(3月)でした。08年10月以来約7年半ぶりの低水準です。これは政府債務の高い信用力を支え、通貨ポンドにもプラスに働く一因と考えられます。
依然としてEU残留が若干リードも、予断を許さない状況続く
6月23日のEU残留、離脱を問う国民投票が近づき、世論調査も熱を帯びてきています。残留が多数派の傾向が1年半ほど続いていますが、15年の秋頃から両者は接近しています。5月に入ってからの調査では残留45%、離脱43%、保留12%です。投票が近くなってより旗幟鮮明の度合いが強まっています。
アムンディでは、確率は五分五分に近いものの、最終的には残留が上回ることをメインシナリオとしています。最初から姿勢が明確な離脱支持層に対し、残留支持層には、ぼんやりと現状維持を望む保留層も相当あると考えられるためです。
原油価格反発の影響も大きく英ポンドは底打ちしている
英ポンドは特に対円で下落し、年初の177円台から、一時151円台となり、現在は160円近辺に持ち直しています。下落要因の9割方はドル安・円高の進行によるものです。
英ポンドは産油国通貨の性質も併せ持っており、対ドルでは原油価格回復で反発しています。ドル・円相場も底堅い米国経済を背景にドルが下げ止まっており、今後、対円相場での反発も期待される局面になっています。
万が一EU離脱が決まれば、さらに急落するリスクは否定できませんが、これまでに半ば相場に織り込まれていると見られます。むしろ、残留決定後、経済の良好さも手伝って、英ポンドは反発するというのがアムンディのメインシナリオです。
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