トルコの金融政策とトルコリラ相場の展望

2016/04/21 <>
  1. 政策金利を7.5%に据え置く一方、限界貸出金利を10.5%から10%へ引き下げました。
  2. 19日就任した新総裁は、前総裁の政策スタンスを踏襲すると見られており、市場は好意的です。
  3. 高インフレが続く中、引き締め継続の基本スタンスは維持され、通貨リラは底堅く推移しそうです。

金融政策改革の試み続く

トルコ中央銀行(TCMB)は4月20日の金融政策委員会で、政策金利の1週間レポ金利を7.5%に据え置く一方、政策金利上限に当たる限界貸出金利を10.5%から10%へと引き下げました。昨年から模索されている、金融政策の透明性向上のための改革(政策金利の一本化)への試みが前月から続けられています。

3月のCPIは前年同月比+7.46%と鈍化しましたが、インフレ目標上限(+7%)を上回っており、市場金利を限界貸出金利近辺に誘導する事実上の金融引き締めが維持されています。エルドアン政権からの金融緩和圧力に配慮した形です。なお、前日の19日、チェティンカヤ新総裁が就任しました。副総裁からの昇格です。高インフレを背景とした金融引き締めスタンスを維持するという、バシュチュ前総裁の政策スタンスを踏襲すると見られており、市場はおおむね好意的です。

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底堅い景気と悲観論の後退を背景に投資環境が改善

こうした中、通貨リラは対ドルで持ち直しいます。足元は1ドル2.81リラ程度となっていますが、昨年夏場以来の高値圏にあります。欧州景気の回復で輸出が底堅く、鉱工業生産の押し上げにもつながるなど、企業活動の良好さが好感されています。

新総裁への信頼感の高さに加え、大きな地政学リスクにさらされつつも内・外需双方に支えられて景気は堅調です。しかも、市場金利は10%前後と、新興国の中でも高く、投資環境は以前よりも改善しています。世界経済に対する悲観的観測の後退も手伝って、リラは当面底堅く推移すると思われます。

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