急速な円高進行と今後の見方
- 11日の欧州時間にドル・円相場は110円台まで上昇しました。14年10月末以来の円高水準です。
- 年初以来、1月末前後を除くと円の全面高になっており、「安全資産」としての円が選好されています。
- 市場が落ち着くためには主要国の金融政策などで協調的な政策が取られるかどうかがカギです。
市場の「安全資産」信仰根強く、円全面高
本日、ドル・円相場はおおむね1ドル112円台で推移し、休日前の10日午後3時時点の114円台半ばから大きくドル安・円高が進行しました。10日のイエレンFRB(米連邦準備理事会)議長の議会証言で、年初来の市場の混乱の実体経済への影響を見極めた政策判断をしていく旨発言されたことで、利上げ期待が遠のき、ドル安・円高が進行しました。11日の欧州時間では一時110円台を付けました。
また、年初来の為替相場の特徴として、円の全面高(ほぼすべての主要通貨に対して円高になったこと)が挙げられます。実効相場で見ると、円の突出した上昇が目立ちます。特に2月以降は、円は「安全資産」と見なされ、投資家のリスク回避指向が強まる中で、投資資金の逃避先となって円買いが集中しました。
主要国金融当局のスタンスに注目、財政出動の必要性も
円の全面高は各通貨の対円相場の動きを見れば一目瞭然です。特に1月末に日銀がマイナス金利を導入して、一時的に円安に振れた後が顕著です。
為替相場は相対的なものなので、一国の政策のみでは効果が得にくく、主要国の協調的な政策スタンスが市場沈静化のカギになります。また、11日に国際金融協会(IIF)のチャールズ・コリンズ専務理事が過度な金融政策依存を改め、財政政策による需要創出も重要であると述べ、政府の積極的な行動を促しました。これはIMF(国際通貨基金)のラガルド専務理事も以前述べたことです。3月中旬に予定されているFOMC(米連邦公開市場委員会)、日銀金融政策決定会合、ECB(欧州中央銀行)理事会はもちろん重要ですが、各国政府の景気下支えに対するスタンスにも注目です。
注1:通貨記号は以下の通り、USD:米ドル、EUR:ユーロ、GBP:英ポンド、AUD:豪ドル、ZAR:南アフリカランド、BRL:ブラジルレアル、MXN:メキシコペソ、TRY:トルコリラ、CNY:中国元、INR:インドルピー、IDR:インドネシアルピア(100ルピア当たり)
注2:15年末、16年1月末はNY終値。2月12日は日本時間15時現在
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