米国雇用統計(11月)について~当面の市場展望
2020/12/07
<投資信託>
- 非農業部門雇用者数は前月比+24.5万人、失業率は6.7%でした。雇用回復はより緩やかになりました。
- コロナ禍でこれ以上の大幅な雇用回復は難しく、景気対策による一定以上の成長維持が期待されます。
- 大きな政治リスク剥落で株価が上昇した一方、為替は今後の雇用環境の不透明さを反映した動きです。
コロナ禍でのさらなる雇用拡大のためには
12月4日、米労働省が発表した11月雇用統計(速報)によると、非農業部門雇用者数は前月比+24.5万人、失業率は前月比-0.2の6.7%でした。3~4月の雇用減少幅2216万人に対し、5~11月の増加幅は1233万人となり、コロナ禍で失われた雇用の55.6%を回復しました。雇用回復ペースは、引き続き明暗が分かれるのに加え、コロナ対策上、業容回復に限界がある業種も多く、雇用増加はさらに緩やかになってきました。
コロナ禍が長期化する中、失業者数に占める長期失業者数(失業期間が27週以上)の割合の上昇が続いています。11月は36.9%に上り、7年ぶりの高水準です。失業期間は18.8週で7ヵ月ぶりに前月比低下し、長期失業者の再雇用も進み始めていますが、さらなる雇用拡大をいかに図るかは今後の政策課題です。米国では次期政権においても大規模な景気対策が打ち出されると見込まれます。経済成長を推し進めることが、さらなる雇用拡大につながることは確かでしょう。
景気先行き安心感が株高、ドル安に
米大統領選以降、株高、ドル安円高傾向が続いており、NYダウは4日、終値で初めて3万ドルの大台を超えました。ドル・円相場は、景気の先行き安心感の高まりからドル需要が後退し、ドル安主導の円高となっています。
株価は、NYダウの予想PER(向こう12ヵ月ベース)が約22倍と、過去1年の平均の約20倍を10%程度上回り、やや割高ですが、景気対策効果で高めの成長が続くことを想定すれば、それほど極端ではなく、今後も底堅い展開が予想されます。一方、ドル・円相場は、日本側に金融政策の大幅な強化などの変化がない限り、当面はもみ合いの展開が続くと見込まれます。
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