豪州経済・金融政策動向~豪ドル相場の行方は?

2020/12/02 <>
  1. 7-9月期の実質GDPは前期比年率+14.0%でした。コロナ対策強化の影響から回復は弱めでした。
  2. 新型コロナの感染収束、強力な金融緩和継続を背景に、今後、景気回復の本格化が予想されています。
  3. 経済正常化期待で市場のリスク選好が改善し、堅調な商品市況もあいまって、豪ドルには追い風です。

年末以降に景気回復本格化も強力な金融緩和は長期化

本日、オーストラリア(豪州)連邦統計局(ABS)が発表した2020年7-9月期の実質GDPは前期比年率+14.0%、前年同期比-3.8%でした。コロナ禍で大幅マイナス成長となった4-6月期からリバウンドしましたが、夏場に新型コロナの感染が再拡大し、一部でロックダウン(都市封鎖)が再開されたため、回復はやや弱めでした。個人消費を中心としたリバウンドで、固定資本投資(設備投資、住宅投資)は、特に民間で弱い動きが続きました。

こうした中、金融政策は11月に量的緩和が強化され、12月1日の豪準備銀行(RBA)の定例理事会では、雇用の十分な回復、インフレ率の目標(+2~3%)圏内での安定を達成するまで、現行の政策を継続する旨が示されました。11月6日に発表した金融政策報告書では、金融緩和の影響が浸透し、景気は年末以降回復が本格化する予想となっています。一方、インフレ率は低位が続くほか、失業率は低下傾向も緩やかと予想されており、金融緩和は長期化すると見込まれます。

経済正常化への期待が豪ドルに追い風

豪ドル相場は底堅く推移しています。国内の新型コロナ感染がほぼ収束しているのに加え、欧米での感染再拡大が当面の景気に対する不安材料ながらワクチンの実用化が近いとの見方から、市場のリスク選好が改善していることが影響していると見られます。

経済正常化への期待が、好調な商品市況に表れています。代表的なCRB指数は3月上旬以来の水準まで上昇しており、連動性が高い豪ドルを押し上げています。年末以降、内外の景気回復が本格化してくると、豪ドルにとってはさらに追い風になると期待されます。

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