ユーロ圏の11月景況感について

2020/11/25 <>
  1. ユーロ圏の11月景況感は、主要国の経済活動制限を受け、製造業以外の景況感悪化が目立ちました。
  2. 一部の国では新規の感染がピークアウトしつつありますが、年末年始の景気に不透明感が残ります。
  3. 市場は米国の政治情勢、新型コロナワクチンの開発動向に注目しており、「コロナ後」を見据えています。

主要国のコロナ対策を反映

ユーロ圏の11月景況感指標は、新型コロナの感染再拡大を受け、主要国が経済活動の制限を再開したことが反映されました。新規感染は一部の国でピークアウトしつつありますが、年末年始の景気に不透明感が残ります。IHSMarkitが発表したPMI(総合)は前月比-4.9の45.1と、景況感の好悪の境目である50を5ヵ月ぶりに割り込みました。また、CESifoが発表したifo指数は前月比-1.8の90.7でした。現況指数が同-0.4、期待指数が同-3.2と先行き不安が強まりました。

業種別に見ても、経済活動制限の影響が出ています。PMIでは製造業の前月比-1.2、53.6に対し、サービス業が同-5.6の41.3と悪化が目立ちました。また、ifoの業種別景況感指数では、主要5業種(製造業、サービス業、建設業、小売業、卸売業)のうち、製造業以外はすべてマイナス圏(景況感の好悪の境目はゼロ)に低下、もしくはマイナス幅を拡大しました。

経済活動制限の先を見出した市場

景気回復の遅れを懸念は根強いものの、足元では、ユーロ相場は底堅く推移し、ユーロ圏株式は堅調に推移しています。目先の景気不安に対して、市場はより先を見ている印象があります。

米国では、大統領選挙を終え、年明け後1月に新政権が滞りなく成立する見込みとなり、政治リスクが大きく減退しました。これに加えて、欧米の製薬メーカーによる新型コロナワクチンの開発が進み、来年以降ワクチン接種が進むことで、世界が正常な経済活動を取り戻すという期待が高まっています。こうした、「コロナ後」に市場が前向きに反応しているのが現状の動きです。景況感の厳しさに対して、市場の動きは異なる状況が続きそうです。

※ユーロ・ストックス指数はSTOXX Limitedが発表しており、著作権はSTOXX Limitedに帰属しています。

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