米国雇用統計(10月)について~当面の市場展望

2020/11/09
  1. 非農業部門雇用者数は前月比+63.7万人、失業率は6.9%でした。雇用回復は緩やかになってきました。
  2. コロナ禍が続く中で、コロナ前まで雇用を回復させにくい業種があり、長期失業解消が今後の課題です。
  3. 大きな政治リスク剥落で株価が上昇した一方、為替は今後の雇用環境の不透明さを反映した動きです。

長期失業者増加がもたらす影響とは

11月6日、米労働省が発表した10月雇用統計(速報)によると、非農業部門雇用者数は前月比+63.7万人、失業率は前月比-1.0の6.9%でした。3~4月の雇用減少幅2216万人に対し、5~10月の増加幅は1207万人となり、コロナ禍で失われた雇用の54.5%を回復しました。早期回復が見込まれていた業種の回復が進み、雇用の回復ペースは徐々に緩やかになってきました。

コロナ禍が長期化する中、失業者数に占める長期失業者数(失業期間が27週以上)の割合が上昇しています。コロナショック当時は、一時解雇者の急増で大幅に低下しましたが、半年が経過し、当時の新たな失業者がそのまま長期失業者になった形です。10月時点では32.5%と、約5年半ぶりに30%を超えました。失業の長期化は内需回復の妨げになると同時に、政府の雇用対策支出が増加する要因ともいえ、財政事情にもマイナスであり、重要な政策課題となりつつあります。

株高&ドル安の背景と今後の展望は?

米大統領選を経て、大きな政治リスクが剥落したことが安心感となり、株価が上昇した一方、ドル安円高が進行しました。1ドル103円台となっており、コロナショックがピークに達した3月上旬以来の円高水準です。

バイデン候補が当選確実となる中、財政に対して緩和的な民主党のスタンスが影響している面もありますが、今後の雇用環境改善に対する不透明感が出てきていることも背景にあると見られます。一方、日本も金融、財政に緩和的なため、ドル、円双方の需給関係から、自然体ならば、円高が極端に進行する可能性は高くないと考えられます。

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