米国大統領・議会選挙について~今後の市場展望
- 大統領選は民主党のバイデン候補が優勢ですが、最終的な決定にはもうしばらく時間を要しそうです。
- バイデン政権となった場合、大規模の景気対策に加え、ESGを重視した政策を実施すると見込まれます。
- 議会は下院で民主党が優位な情勢ですが、上院は拮抗しており、勢力を判断するには時期尚早です。
僅差でバイデン優勢も、結果判明までは時間を要する見込み
11月3日に実施された米国大統領・議会選挙は、大接戦の様相を呈しています。現時点では、僅差ではありますが、バイデン候補が優勢な情勢です。ただし、選挙前からカギとされていた郵便投票の開票に時間を要するほか、トランプ大統領側から、開票の公正性をめぐって法的措置が講じられる可能性も否定できず、最終的な決定にはもうしばらく時間を要しそうです。
バイデン候補が大統領に就任した場合、喫緊の政策としては新型コロナ対策としての大規模な財政出動が挙げられます。現在、民主党側から出されている景気対策の規模は最低でも2兆ドルとされています(トランプ大統領が掲げていた対策の規模をやや上回る水準)。一方、長期的には、法人税率の引き上げを掲げており、税収増を主な原資として、インフラ整備やESG(環境、社会、企業統治)を重視した経済政策を推し進めていくことが見込まれます。法人税増税は景気にマイナスですが、これらの政策の経済効果でカバーできると考えています。ただし、上院で共和党の勢力が維持された場合には、こうした政策の迅速な実行は容易ではないと思われます。
イベント消化で株式上昇も、引き続き慎重スタンス
米大統領選挙の状況を受け、市場はおおむね好感し、株価は大きく上昇し、低金利が長期化するとの観測から長期金利は低下、ドル・円相場はやや円高ドル安となりました。選挙前は、様子見姿勢から不安定な動きをする局面もありましたが、米国大統領選挙は世界最大の政治リスクであり、結果はまだ出ていないにしても、イベント消化で市場では買い戻しの動きが広がったようです。
ただし、選挙結果の決定タイミングに関する不確実性と、その結果としての短期的な政情不安によって、市場はボラティリティの高まりを維持し、株式相場の上値を抑える可能性もあります。米議会が上下院でねじれた状態となる場合、または選挙結果が決まらない状況では、ボラティリティの高まりが短期的には米ドルへの需要を増大させる一方、より大きな財政赤字を伴う財政支出への期待は後退すると思われます。
今後の景気回復に対する期待と低金利維持から株価は底堅い展開、為替相場は低金利維持(ドル安要因)と景気回復期待(ドル高要因)双方の影響から、ドル高、ドル安どちらか一方向へ極端に傾くような動きにはなりにくいと考えられます。全体として、慎重でバランスの取れた投資スタンスを維持する必要があるでしょう。
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