米国雇用統計(8月)について~当面の市場展望
- 非農業部門雇用者数は前月比+137.1万人、失業率は8.4%。失われた雇用の半分程度戻しました。
- 幅広く回復していますが、今後は経済活動の正常化に沿って次第に緩やかな回復になると見込まれます。
- 金融相場で株価は底堅い一方、ドルは景気回復期待と余剰感が拮抗し、もみ合う展開が見込まれます。
経済の完全な正常化にはまだ時間要する
9月4日、米労働省発表の8月雇用統計(速報)で、非農業部門雇用者数は前月比+137.1万人、失業率は前月比-1.8の8.4%と、5ヵ月ぶりに10%を割り込みました。3、4月の雇用減少幅2216万人に対し、5~8月の増加幅は1061万人となり、コロナ禍で失われた雇用の47.9%を回復しました。経済活動の再開に伴い、雇用環境の正常化が急速に進んでいます。
雇用の回復度合いは、引き続き業種で差があり、政府部門、鉱業、情報サービス業、卸売業、不動産業、旅客運輸、娯楽業のうち芸能、スポーツ、宿泊などのセクターは、雇用の戻りが鈍い状態です。一方、小売業、建設業、旅客以外の運輸業、個人向けサービス業の一部などは順調に回復し、すでにコロナ前を上回っている業種も散見されます。今後も、強力な金融、財政政策の下で雇用環境の正常化が続くと見込まれます。ただし、ソーシャル・ディスタンス維持の観点から、経済が完全にコロナ前に戻るにはまだ時間を要し、雇用の回復は次第に緩やかになってくると見込まれます。
金融相場で動き異なる株価と為替相場
9月3日に株価が急落しました。予想PER(向こう12ヵ月ベース)がNYダウで20倍を超えるなど、割高感が強まった反動が出たと見られます。しかし、強力な金融緩和の長期化が見込まれる中、景気や業績の回復期待で今後も底堅い展開が続くと見込まれます。
一方、コロナ禍の緊急時でのドル資金の大量供給、強力な金融緩和、大規模財政出動などで、ドルの余剰感が強まっています。これが景気回復期待と拮抗し、ドル・円相場はもみ合う展開が見込まれます。金融相場(大量のドル資金が供給された状況下の相場展開)の様相が強い中、株価と為替相場の動きに差が出ている状況です。
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