英国経済の動向~2020年4-6月期GDP、市場展望
- 実質GDPは前期比年率-59.8%でした。ロックダウンで内需が急減した一方、外需は大幅プラスでした。
- 経済活動の再開で7-9月期はリバウンドが期待されますが、年間は大幅マイナス成長が予想されます。
- 市場のリスク許容度高まりポンドは堅調ですが、今後は政策、景気に応じた相場形成が見込まれます。
経済活動は大方再開
8月12日に英国家統計局(ONS)が発表した2020年4-6月期の実質GDPは、前期比年率-59.8%でした。英国は、3月23日から5月11日までロックダウン(都市封鎖)を実施し、6月半ばまではかなり制限されていました。現在は、大方の経済活動が制限付きながら再開されましたが、4-6月期はロックダウンの影響が集中しました。
主な需要項目の実質GDP成長率(前期比年率)に対する寄与度を見ると、最終消費が-51.7%、固定資本投資が-12.6%と、当然ながら内需が急減しました。一方、純輸出(外需、輸出-輸入)は+10.2%でした。輸出入共に急減し(輸出が前期比年率-38.1%、輸入が同-65.5%)、過去最大の黒字となりました。
止められていた経済活動の再開で、7-9月期はリバウンドが見込まれます。また、英国政府は、雇用救済や付加価値税(日本の消費税に相当)減税を柱とした追加景気対策を打ち出しており、さらなる景気刺激が期待されます。それでも、年間では年前半の需要減が響き、-8%程度と大幅なマイナス成長が予想されます。ちなみに、BOE(イングランド銀行)は、8月6日に発表した金融政策報告書で、2020年の実質GDP成長率を-9.5%と想定しています。
ポンドはコロナ禍での下落をほぼ取り戻す
英ポンド(以下、ポンド)相場は、このところ堅調です。内外で経済活動の再開が広がり、景気先行き不安の後退と同時に市場のリスク許容度が高まり、米ドル安主導でポンドが上昇しました。
為替市場では、米金融当局が大量に供給した米ドルが、今になって余剰感となっており、目先は米ドル安圧力を背景としたポンド高傾向が見込まれます。その後は、英国の政策対応や景気回復ペースなどが相場形成に影響してくると考えられます。水準的にも「コロナ前」で景気回復期待が強まっていた2020年初め頃に近づいており、上昇余地は以前より狭まってきたと思われます。
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