インドネシア経済の動向~2020年4-6月期GDPと市場展望

2020/08/06
  1. 実質GDPは前年同期比-5.32%、アジア通貨危機以来のマイナス成長です。内需が急減しました。
  2. 経済活動再開は、限定的なまま緩和が進まず、7-9月期以降の景気大幅反転の期待は低下しています。
  3. 追加利下げの公算大きく、ルピアは当面様子見気運、株価は回復方向ながら慎重な動きと見込まれます。

遠のくV字回復

8月5日、インドネシア中央統計局が発表した2020年4-6月期の実質GDPは、前年同期比-5.32%でした。四半期でのマイナス成長は、アジア通貨危機(1997年)後の景気後退期における1999年1-3月期以来のことです。新型コロナウイルスの感染防止のため「社会的大規模制限」を実施し、経済活動を抑制した影響が表面化しました。主な項目の実質GDP成長率に対する寄与度を見ると、最終消費が-3.58%、固定資本投資が-2.72%と内需が急減しました。外需(輸出-輸入)は+0.73%でした。輸入の減少度合いが輸出の減少を上回ったため、プラス寄与でした。

インドネシアでは、新型コロナウイルスの感染拡大が止まらず、首都のジャカルタでは、社会的大規模制限の緩和が大幅に遅れています。6月から始まり、業容の50%を上限に企業活動が再開され、7月にさらに緩和される予定でしたが、現時点では8月13日まで、この状態が延長されています。7-9月期に景気が大きく反転する可能性は低くなっています。7月CPIは前年同月比+1.5%と、目標の下限を下回っており、年内はさらに数回の追加利下げが予想されます。

回復に弾みがつきにくい状態

インドネシア資本市場は、本格的な景気回復の見通しが立たない中で、今一つ方向感がつかめない状況です。6月初めまで、インドネシアルピア(以下、ルピア)は上昇傾向、株価も回復傾向が強まっていましたが、その後ルピアは反落し、株価も上昇が鈍っています。

追加利下げの公算が大きく、通常ならば債券に投資資金が流入し、ルピア高要因になりますが、コロナ禍という環境下でそのような動きは限定的で、ルピアは当面様子見気運の強い展開になりそうです。株価は、企業業績回復の道筋が描けない中、慎重な動きが見込まれます。

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