日銀短観6月調査について
2020/07/01
<投資信託>
- 業況判断DIは経済活動制限の影響で急落しました。先行きも中堅・中小企業で強い不安が見られます。
- 急激な業績悪化が予想されており、設備投資が停滞方向、雇用もすでに悪化が鮮明化しています。
- 7-9月期以降に景気は持ち直すと見込まれますが、当初は緩慢なペースにとどまると考えられます。
なお感染状況に左右
本日、日銀が短観(全国企業短期経済観測調査)を発表しました。大企業製造業の業況判断DI(最近)は、前回の3月調査比26低下の-34でした。30を超えるマイナス幅は2009年9月調査以来で、リーマンショックに伴う景気後退以来の業況悪化となりました。
今回の特徴は、大企業は年後半の業況改善を見込んでいる一方で、中堅・中小企業は先行きが最近よりもさらに悪化している点です。新型コロナウイルスの感染状況にもよるため、企業規模が小さいほど経済活動再開後のメドが立ちにくく、強い不安が見られます。業種では、金属、機械、建設など設備投資関連が厳しく、自動車、個人向けサービスなど個人消費関連は先行きの業況改善が見込まれています。
V字回復は難しい情勢
収益・設備投資計画(全産業全規模)では、2020年度の経常利益は前年比-19.8%、設備投資は-0.1%でした。業績は下方修正され、設備投資も前回調査比改善せず、典型的な景気後退のパターンになっています。設備、雇用の過不足感も急速に悪化しました。雇用環境の悪化は製造業で鮮明で、規模にかかわらずプラス圏(過剰)となっています。すでに雇用統計で失業率の上昇などの動きが出てきています。
景気対策の効果もあり、国内景気は7-9月期には下げ止まりから回復に向かう可能性は高いと見込まれます。しかし、企業業績も雇用環境もすぐに「コロナ前」には戻らず、特に雇用環境は一旦悪化すると戻るには時間を要し、当面、回復は緩慢なペースにとどまる公算が大きいと考えられます。
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