トルコの金融政策(6月)~当面のリラ相場展望
- 政策金利は8.25%に据え置きでした。インフレ率の高止まりを受け、通貨安にも対応したと見られます。
- 対外収支の悪化が続き、外貨準備に依然として不安が残っており、利下げが難しい環境になっています。
- 利下げ一服はプラスも、景気は期待と不安が併存、外貨繰りも不安残り、リラはもみ合うと見込まれます。
利下げが難しい環境に
トルコ中央銀行(以下、中銀)は25日、金融政策委員会を開き、政策金利(1週間物レポ金利)を8.25%に据え置きました。2018年9月~2019年7月の24%をピークに、その後の全会合で実施されてきた連続利下げが止まりました。声明文ではインフレ率の高止まりが理由に挙げられています。5月CPIは前年同月比+11.4%でした。食料、衣料など生活必需品が押し上げ、年初来続いたトルコリラ(以下、リラ)下落が、輸入価格を押し上げ、CPIに波及した可能性が高いと見られます。
対外収支も悪化しています。4月の経常収支は50.6億米ドルの赤字と、約2年ぶりの大きな赤字幅となりました。主力の欧州向け輸出が前年同月比でほぼ半減しました。また、旅行収支が受取、支払共にゼロとなり(したがって旅行収支もゼロ)、経常収支を14億米ドル押し下げました。外貨準備高(除く金)も6月19日時点で149億米ドルと、前年末の562億米ドルから大幅に減少し、外貨繰りが依然不安なことがリラ安要因となっていることも利下げを難しくしていると見られます。
強弱両面の材料があり方向感出にくい
リラ相場は、対円で5月上旬に1リラ15円割れまで下落した後反発し、6月上旬は16円台を回復するも、現在は15円台半ばとなっています。新型コロナウイルスの感染再拡大による景気回復遅延に対する不安で、楽観的な市場心理が冷やされました。
政策金利据え置きと、5月に景気底打ちの兆候が出てきたことはリラにはプラスです。一方、景気自体は夏場以降も不透明感が拭い切れません。また、外貨繰り不安については、カタールとの通貨スワップ枠拡大で一息ついたものの、対外収支悪化に対して十分とは言いにくく、リラ相場はもみ合いで推移する見込まれます。
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