米国雇用統計(5月)について~当面の市場展望
2020/06/08
<投資信託>
- 5月の非農業部門雇用者数は前月比+250.9万人、失業率は13.3%と、3ヵ月ぶりに改善しました。
- 雇用環境は改善方向が定着するも、経済活動は依然制限付きで、雇用回復には時間を要しそうです。
- 短期的な戻りが早く、株価は割高感も出てきており、反動の動きも考慮に入れる必要が出てきました。
経済再開でひとまず雇用増
6月5日、米労働省発表の5月雇用統計(速報)では、非農業部門雇用者数が前月比+250.9万人となり、3ヵ月ぶりに増加に転じました。失業率は前月比-1.4ポイントの13.3%でした、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、全米で経済活動が抑制されたことから、歴史的な雇用者減少(3、4月合計で2206万人)に見舞われましたが、過半の州が5月前半までに経済活動を再開したことが雇用の増加につながったと見られます。しかし、減少幅の1割強を戻したに過ぎません。
事前の市場予想では、さらに悪化するとの見方が多数派でした。週次統計である失業保険統計では、失業保険給付の受給者数が、雇用統計の集計期間である毎月12日を含む週では、前月比+280万人程度と増加が続いていたためです。その後、新規の失業保険申請件数が着実に減少しており、受給者数はピークアウトし、雇用環境は改善方向が定着していくと見込まれます。ただし、経済活動は依然制限付きであり、雇用の回復は時間がかかりそうです。
急速な戻りに対する反動にも注意
雇用統計の発表を受け、為替市場、株式市場共に結果を好感し、ドル・円相場は109円台へドル高・円安が進行、NYダウは3ヵ月ぶりに2万7000ドルを回復しました。
基本的には、景気の先行き期待を織り込む動きと見られますが、予想PER(NYダウ、向こう12ヵ月ベース)が21.5倍と、過去1年の平均値16.5倍を30%以上上回っており、割高感が出てきています。短期的な戻りが大きい分、その反動が出る局面も考慮しておく必要が出てきたと思われます。
※PER(株価収益率)=株価÷1株当たり利益(単位:倍)
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