米国雇用統計(3月)について~当面の市場展望
- 3月の非農業部門雇用者数(NFP)は前月比-70.1万人とリーマンショック時以来の減少となりました。
- 外食産業、人材派遣が中心に減少しました。今後は、幅広い業種に雇用削減が広がると懸念されます。
- 世界的に深刻な景気後退局面に陥る公算が大きく、雇用環境は当面厳しい局面が続くと見込まれます。
人の移動の抑制で外食産業を直撃
4月3日、米労働省が発表した3月の雇用統計(速報)では、非農業部門雇用者数(NFP)が前月比-70.1万人でした。3月13日に非常事態が宣言されて以来、リーマンショック時以来の厳しい環境に突き落とされました。特に、人の移動が制限されたことで、外食産業が前月比-41.7万人と全体の6割近くを占めたほか、小売が同-4.6万人など、接客を伴う業種の雇用減少が目立ちました。また、人材派遣が同-5.0万人と、非正規雇用の減少も見られました。失業率も急上昇し、前月比+0.9の4.4%でした。
雇用環境は、今後も厳しい環境が続くと見込まれます。週次統計である失業保険申請件数(季節調整値)は3月第3週(3月15~21日)が約331万件、第4週(3月22~28日)の累計が約665万件と、膨れ上がりました。リーマンショック時の最大値66.5万件を遥かに上回る高水準です。次回の雇用統計も、今回同様の厳しい内容になることが避けられそうにありません。
企業業績の展望が見えてくるまで方向感定まらず
為替市場では基軸通貨であるドルへの需要は根強く、厳しい雇用統計にもかかわらず、ドル・円相場は1ドル108円台で底堅く推移しています。一方、日経平均株価は1万8000円台で推移しています。相場の変動性の高さを示すボラティリティ指数は4月3日時点で46.0%と、直近最高値の60.7%(3月16日)からは低下し、落ち着いた感はありますが、絶対水準はまだ高い状態です。
新型コロナウイルスの世界的な感染拡大はまだ続いており、収束時期を予測するのはまだ困難な状況です。したがって、経済活動抑制によって、年前半は先進国を中心に大幅なマイナス成長に陥る公算大です。ドル需要は根強いと見られ、ドル・円相場は当面底堅いと見込まれます。株式市場は、企業業績が悪化することが避けられない中、悪化の度合いやその後の展望がある程度描けるようになるまでは、方向性が定まらず、神経質な展開を余儀なくされると考えます。
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