ズームイン・インディア~人命優先の措置も経済面では今後が正念場

2020/03/30 <>

景気回復の兆しが出ていたインド経済は、新型コロナウイルスの感染拡大を警戒して全土封鎖に踏み切り、厳しい景気後退が避けられない情勢です。金融面で緊急対応をするも、今後は経済面の対応が正念場です。

金政策委員会前倒しで大幅利下げ

インド経済は、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を受け、2月までの景気回復の兆しから、一転厳しい景気後退が避けられない情勢です。インドでは3月下旬から感染者の増加が加速し始め、インド政府は3月25日から21日間の「全土封鎖」を実施しました。人の移動に加え、一部業種を除く企業活動を停止する措置に踏み切りました。これにより2020年前半のGDPは大幅なマイナス成長に落ち込む可能性があります。こうした事態に対し、27日、インド準備銀行(RBI)が金融政策委員会を前倒しで実施し、政策金利であるレポ金利を0.75%引き下げました(5.15%→4.4%)。同日、金融機関の融資に対する元利返済を3ヵ間猶予することを発表し、同時に大量の資金供給を実施しました。人命優先の措置に対する経済面の手当てはこれからが正念場です。

 

当面は高い変動性に要注意

しかし、1月30日にWHO(世界保健機関)が緊急事態宣言を出した後は、ウイルス対策へ国際協調の気運が高まるとの見方から、「ウイルスリスク」は市場に織り込まれる方向にあります。インド準備銀行(RBI)は今後のインド経済について、2020年後半には+6%程度の経済成長ペースを取り戻すと予想しており、市場は景気回復を見据えた底堅い展開になっていくことが期待されます。

また、為替市場でも、基軸通貨の米ドルへ資金需要が高まる中、インドルピー(以下、ルピー)も大きく下落し、対米ドル、対円は前年末比で同率で5.2%下落しています(3月27日現在)。世界的に大規模な金融、財政政策が打ち出され、国内でも状況次第ではさらに金融緩和を強化、さらに新たな景気対策も打ち出される可能性大です。こうした動きを受け、市場はひと頃のパニック状態と比べると落ち着いた感はありますが、景気の実態悪が今後避けられないこともあり、当面は高い変動性には注意が必要でしょう。

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