メキシコの金融政策(3月)について

2020/03/24 <>
  1. 政策金利は6.5%に低下しました。通貨急落、長期金利急上昇と市場が混乱、予定が繰り上げられました。
  2. 金融市場の機能維持、向上を目的に、流動性を潤沢に供給にする方策も同時に発表されました。
  3. 経済正常化と景気回復に資するものの、当面は市場の不安が根強く、ペソは神経質に推移しそうです。

市場の混乱に前倒しで対応

メキシコ銀行(以下、中銀)は3月20日、26日に予定していた定例理事会を繰り上げて開催しました。政策金利の翌日物金利を7.0%から6.5%に引き下げました。利下げは6会合連続です。中銀はこのほか、国内金融市場でのメキシコペソ(以下、ペソ)相場急落、メキシコ国債利回りの急上昇など、市場が混乱していることを受け、市場の機能向上を目的に、流動性を潤沢に供給する方策も同時に発表しました。

具体的には、①金融規制預金の減額です。これは、日米欧における準備預金に相当するもので、現在約3200億ペソある残高を500億ペソ減額し、信用供与の増加を促します。また、②中央銀行貸出に相当する常設追加流動性ファシリティの適用金利について、政策金利の2~2.2倍を1.1倍に引き下げ、銀行の資金調達コストを低減させます。③19日に米国と600億ドルの通貨スワップ協定を締結したことを受け、金融機関に対してドル売り入札を実施、さらに、④長期金利の大きな変動に備えるため、国債のマーケットメーカーの持ち高調整をしやすくするためのルール変更を実施します。

結果的に効果発揮も当面は不安感先行

ペソ相場は2月下旬まで堅調に推移していましたが、欧米諸国で新型ウイルスの感染拡大が鮮明になると、市場のリスク回避指向が急速に強まり、一転急落しました。対ドル、対円共に年初来高値からの下落率は20%を大きく超えています。

メキシコ経済は、実質GDP成長率の前期比が4期連続マイナスと景気後退期にあり、金融緩和が実施されていました。その中で、新型ウイルス禍への対策として追加利下げが実施されたことは、それが沈静化した後の景気押し上げ効果がその分大きくなったことを意味します。ただし、当面は市場の不安感が、対策に対する期待感を上回る状況が続くと見込まれ、ペソ相場は神経質な展開を余儀なくされると見込まれます。

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