インドネシアの金融政策(3月)~今後の市場展望
- 政策金利は0.25%引き下げの4.5%でした。世界的な経済活動停滞から経済見通しを下方修正しました。
- これに先立ち、政府は総額125兆ルピアの景気対策を発表し、財政、金融双方で景気を下支えします。
- 年内には経済正常化が予想されていますが、世界的な混乱の中、市場は不安定な展開が続きそうです。
ルピア急落の下支え策強化
インドネシア銀行(Bank Indonesia〔BI〕、以下、中銀)は18-19日に定例理事会を開き、政策金利であるBIレート(7日物レポ金利)を0.25%引き下げ、4.5%としました。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で国内景気が減速するリスクに備え、2月にも利下げ実施しましたが、国内でも感染が広がる中で、本格的な景気刺激策を講じる必要性が急速に高まりました。
中銀は利下げのほかにも、急落するインドネシアルピア(以下、ルピア)相場に対して、市場介入を強めるほか、ルピアの潤沢な供給のため、SBN(短期国債)のレポ取引の期間を12ヵ月と長期化するほか、通貨スワップオペレーションの頻度も高める方針です。中銀は、世界的な経済活動の停滞により、国内で観光業などサービス産業が打撃を受けていることを考慮し、経済見通しを下方修正しました。2020年の実質GDP成長率予想を2月時点の5.0-5.4%から4.2-4.6%へと大幅に下方修正しました。ただし、2021年は経済正常化で5.2-5.6%へ回復すると予想しています。
景気対策の効果は経済が正常化し始めてから
中銀以外にも、政府は13日、総額125兆ルピア規模の経済対策を発表しました。所得税の免除や、企業の輸出関連税の納付を猶予します。所得税免除は製造業の従業員が対象で、サービス産業に対して行った援助に続く措置です。
インドネシア株、ルピア相場は、市場の強いリスク回避指向を背景に急落しています。20日時点で、JCI指数は2月末時点から-23.1%、ルピア相場は対ドルで同-11.0%、対円で同-8.7%となっています。内外の相次ぐ財政、金融政策は、経済正常化とともに大きな景気刺激要因として効果が顕在化すると期待されますが、現時点ではまだ世界中で経済活動が抑制されている状態であり、当面は株価、ルピア相場共に不安定で神経質な展開を余儀なくされると見込まれます。
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