ブラジルの金融政策(3月)~世界的な危機を受けた当面の展望
- 政策金利は3.75%に引き下げでした。先進国の経済活動停滞による景気の落ち込みを警戒しました。
- 危機的な状況に対して、中銀は政策手段のすべてを活用し、景気を下支えする姿勢を見せています。
- 米中経済の先行き不安から、新興国通貨全般が下落傾向にあり、当面は神経質な展開が想定されます。
利下げ打ち止め姿勢から一転
ブラジル中央銀行(以下、中銀)は、3月17-18日のCopom※で、政策金利であるSELIC金利◇を4.25%から3.75%へ0.5%引き下げました(全会一致)。6会合連続の利下げです。前回の会合で中銀は利下げ打ち止めを表明しましたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で景気が落ち込む可能性が高まったとの認識で緩和強化に踏み切りました。
中銀は2020年末のCPI(消費者物価指数の見通しを+3.0%、2021年末は+3.6%を想定し、前回会合のそれぞれ+3.5%、+3.7%から下方修正しました。このため、政策金利ついては、年内は3.75%で据え置き、2021年に利上げ方向に転じると想定しています。中銀は声明文で、世界的な危機が迫っている状況に立ち向かうべく、今後の景気動向によっては追加の措置を講じる可能性があるとしています。
※Copom(Comitê de Política Monetária):金融政策委員会
◇SELIC(Sistema Especial de Liquidação e Custódia):決済・預託特別システム
米中からの深刻な影響に身構え
ブラジルレアル(以下、レアル)相場は年初から軟調な展開でしたが、ここに来て急落し、1ドル5レアル台乗せ、1レアル21円台と、過去最低の水準となっています。世界的に市場のリスク回避姿勢が非常に強まり、新興国通貨が押し並べて急落する流れに巻き込まれた形です。
2大経済大国である中国、米国双方で、年前半に景気が落ち込む可能性が高まり、双方と貿易を通じて経済関係が深いブラジルに深刻な影響が及ぶ可能性が次第に高まってきています。経済構造改革が推進され、インフレ体質や、国としての信用の改善がレアルの相対的な価値を押し上げると期待されています。しかし、当面は、世界的な経済の落ち込みに身構え、神経質に反応せざるを得ない展開を余儀なくされると見込まれます。
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