米国雇用統計(2月)~新型ウイルスの影響は?

2020/03/09 <>
  1. 2月の非農業部門雇用者数(NFP)は前月比+27.3万人と高水準の増加幅です。雇用環境は良好です。
  2. 米国でも新型ウイルスの感染が拡大しており、経済活動自粛で雇用増が鈍化する可能性があります。
  3. 世界的な景気後退が懸念されて質への逃避が起きていますが、こういう局面で市場は行き過ぎがちです。

新型ウイルス感染拡大の影響はこれから

3月6日、米労働省が発表した2月の雇用統計(速報)では、非農業部門雇用者数(NFP)が前月比+27.3万人でした。前月と並び、高水準の増加幅となりました。暖冬の影響で建設業が堅調なほか、ヘルスケア、外食も好調でした。また、民間企業の時間当たり平均賃金は前年同月比+3.0%と、底堅く推移しています。総賃金(雇用者数や労働時間の変化も加味した賃金)も前年同月比+4.2%(前月比+0.4ポイント)と個人消費にとって追い風です。

新型ウイルスの感染者が米国でも拡大しています。世界保健機関(WHO)によると3月8日時点の感染者数は213名で、直近1週間で3倍以上に拡大しており、今後、雇用環境に影響が出る可能性があります。特に、サービス業を中心に雇用削減のケースが出るなど、全体の雇用の増加ペースが落ち込むことが考えられます。

質への逃避の性質

ドル・円相場は世界的な景気後退が懸念されて「質への逃避」が起きており、本日、ドル・円相場は一時1ドル101円台に急進、日経平均株価は2019年1月以来の2万円割れとなりました。

質への逃避は、過去、世界同時多発テロ(2001年3月)、リーマンショック(2008年9月)などで起きました。逃避が起きている最中に転換点を推し量るのは困難ですが、こういう局面では相場の行き過ぎを生み出しがちです。投資環境が一旦市場に追い風となると、急速に反対方向に動くことがあることに留意が必要と考えます。

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