ユーロ圏の2月物価・1月雇用~為替相場展望

2020/03/04 <>
  1. 2月HICPは総合、コア共に前年同月比+1.2%でした。底堅いものの、+1%台前半の低位が続きます。
  2. 1月失業率は前月比横ばいの7.4%、失業者数は4ヵ月ぶりに前月比増と、雇用環境改善は一服です。
  3. 新型ウイルスの世界的感染拡大でドル高が一服、ユーロは反発していますが、先行きはまだ不透明です。

ウイルス禍で環境改善遅れも

Eurostat(EU統計局)が発表した2月のユーロ圏HICP(統合消費者物価指数)は、総合が前年同月比+1.2%(前月比-0.2)、コアも同+1.2%(同+0.1)でした。原油価格下落でエネルギーが同-0.3%と3ヵ月ぶりにマイナスとなり、総合を押し下げました。コアは財、サービス共に押し上げ要因となりました。大きな傾向としては、インフレ率は底堅く推移していますが、加速する気配はなく、インフレ目標(+2%弱)を下回る+1%台前半の低位が続きます。

1月の失業率は前月比横ばいの7.4%と、2008年5月以来の7%台前半が続きました。一方、失業者数が前月比+0.1万人と、小幅ながら4ヵ月ぶりに増加しました。雇用環境は、周辺国への改善の広がりを受け、最近は緩やかな改善が続いていましたが、今回は一服しました。新型ウイルスの感染者がドイツ、フランスでも100人を超えるなど、経済活動の停滞が懸念される中、雇用、物価環境の改善が遅れる可能性も否定できなくなってきました。

追加緩和の可能性でユーロの方向性定まらず

ユーロ相場は、急反発しています。新型ウイルスの感染が欧米でも拡大し、世界的な景気先行き不安が強まりました。このため、米長短金利が先んじて低下し、日欧との金利差が縮小したことで、ドルが下落に転じたことが反映されたと見られます。3日に、緊急のFOMC(米連邦公開市場委員会)が開かれ、利下げが実施されたたため、さらにユーロ高が進行しました。今後は、欧州でも追加金融緩和が実施される可能性も出てきていますが、市場はまだ織り込んでいないと見られ、ユーロ高が持続するかはまだ不透明です。

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