FOMC緊急利下げと今後の経済・市場展望
- FF金利誘導水準は0.5ポイント引き下げの1.0-1.25%と、新型ウイルスの経済的影響に備えました。
- 3日のG7緊急電話会議で財政・金融政策の総動員が表明され、日欧でも追加緩和の可能性があります。
- 世界的に年前半の景気下押しは避けられませんが、緩和強化がその後の景気を押し上げると考えます。
協調緩和?
3日、緊急FOMC(米連邦公開市場委員会)が開かれ、政策金利のFF金利誘導水準は0.5ポイント引き下げの1.0-1.25%となりました。新型ウイルスの感染が世界的に拡大し、経済活動が制限され、景気が下押しされることに備えました。
同日、G7(主要7ヵ国、日本、米国、イギリス、ドイツ、フランス、カナダ、イタリア)※の財務省・中央銀行総裁が緊急電話会議を開き、財政・金融政策を総動員し、新型ウイルスの感染拡大による景気下押し圧力に備える旨の声明が発表されました。市場では、具体的な内容に乏しいとして評価は今一つでしたが、このような緊急事態で、本来具体的な施策を咄嗟に出せるはずはなく、今後の各国の実際の対応が問われることになりそうです。金融政策面では、米国の利下げを受け、日欧でも何らかの追加緩和が実施される可能性が出てきました。
感染拡大の「その先」を見据えると
米国市場では、利下げを受けて米10年国債利回りが史上初の1%割れとなったのに対し、株価は景気や企業業績の先行き不安が払拭できず、下落しました。NYダウは前日比785.91ドル(-2.9%)安の25,917.41ドルでした。また、ドル・円相場は1ドル107円前後に円高・ドル安が進行しました。
各国間で経済的な交流が一部制限される状況で、金融緩和が実施されても、当面は世界的な景気下押しは避けられない情勢といわざるを得ません。しかし、新型ウイルスの感染拡大も北半球の気温上昇とともにペースが鈍ることは十分考えられ、一旦収束に向けた流れが出てくると、打ち出された財政・金融緩和の効果によって、現時点で抑えられている需要が顕在化して景気を押し上げる可能性が高まります。市場はそれに応じて、景気回復を織り込む動きが出てきてもおかしくありません。ただし、目先は、どのような政策が打ち出されるかによって、各国で市場の反応に差が出てくると見られます。
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