豪州の金融政策(2020年3月)~豪ドル相場の展望
- 政策金利は0.5%に引き下げでした。新型ウイルスの影響で景気下押しが必至な情勢に対処しました。
- RBAは、雇用・物価環境の改善が遅れるとしながらも、感染が収束すれば回復に転じるとしています。
- 中国経済の影響が大きく、豪ドルは市場のリスク回避の流れの中で当面は低迷を余儀なくされそうです。
目先の景気下押しに対処
本日、オーストラリア(豪州)準備銀行(Reserve Bank of Australia、以下、RBA)が定例理事会を開き、政策金利であるオフィシャル・キャッシュ・レート(OCR)を0.25ポイント引き下げ、0.5%としました。2019年6月に利下げを再開して以来、4回目の利下げになります。
今回の利下げは、新型ウイルスの世界的な感染拡大による経済への影響を軽減することが目的で、声明文の冒頭に示されています。RBAは、現段階で新型ウイルスの影響を評価するのは時期尚早としながらも、少なくとも1-3月期での景気下押しは避けられないと判断しています。そして、雇用・物価環境の改善も遅れる可能性が高まったとしています。一方、RBAは、予測は現時点では困難としながらも、ひとたび感染が収束すれば、抑えられていた需要が顕在化し、景気は回復に転じると見込んでいます。
当面は低迷せざるを得ないが・・・
豪ドル相場は、武漢市が封鎖された1月23日以降下げ足を早め、さらに日本を含めた周辺諸国での感染拡大、さらに欧州にも飛び火した2月下旬以降はさらに弱い展開となりました。この間、工業用金属や原油など、鉱物資源の市況悪化も逆風となりました。
豪州は、中国が最大の貿易相手など、中国との経済関係が深いため、ウイルス禍による中国での経済活動の停滞は痛手です。豪ドル相場は、当面はこのような情勢の下、市場のリスク回避的な流れにさらされざるを得ず、低迷を余儀なくされそうです。しかし、RBAの見立て通り、感染収束後は抑えられていた経済活動の反動的な回復に加え、雇用環境や住宅市況など、これまで景気回復の兆しととらえられていた事象が再度注目され、豪ドルを下支えすると考えます。
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