新型ウイルス禍を警戒

インドネシア銀行（Bank Indonesia〔BI〕、以下、中銀）は19-20日に定例理事会を開き、政策金利であるBIレート（7日物レポ金利）を0.25％引き下げ、4.75％としました。2019年10月以来、4ヵ月ぶりの追加利下げです。新型ウイルスの感染拡大の影響で国内景気が減速するリスクに備えました。インドネシアでは現時点で感染者ゼロですが、2月5日にインドネシア－中国間の航空便が停止されたため、観光業をはじめ、幅広い産業で活動が落ち込むことが懸念されています。

製造業PMI（購買担当者景気指数）と消費者信頼感指数を見ると、2019年10月を底に回復傾向にありますが、1月は双方とも低下しています。今後、経済活動の委縮に伴って当面落ち込む可能性が高まっています。インフレ率は安定しています。1月CPI（消費者物価指数）は前年同月比＋2.68％と、インフレ目標の中心（2020年は＋3％）を下回って推移しています。中銀は、2020年の内外の経済成長率見通しを下方修正し、当面は緩和スタンスを維持すると見込まれます。

当面は警戒モード

インドネシアルピア（以下、ルピア）相場は、海外からの投資資金流入などを背景にここまで堅調に推移し、一時1000ルピア8.1円台と2年ぶりのルピア高水準をなりました。株価は、これまで米中貿易摩擦などを背景としたリスク回避的な市場心理からジリ貧が続いています。

ルピア相場は、金融緩和傾向が強まったことから、ルピア高傾向が一服すると見込まれます。株価については、経済活動の委縮で企業業績に対する先行き警戒感が高まりつつあり、新型ウイルスの動向に一定の方向性が見えてくるまでは、神経質な展開を余儀なくされると見込まれます。

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