ECB理事会について~今後の金融政策と為替相場の展望
- 政策金利とその他の政策手段を据え置きました。金融緩和パッケージの効果を見極めるため様子見です。
- インフレ率は景気回復に沿って緩やかに上昇するものの、年内の政策変更の可能性は低いと考えます。
- ユーロ相場は足元では弱含みも、年後半は景気回復にしたがって上昇余地が出てくると予想しています。
インフレ率はごく緩やかな上昇へ
欧州中央銀行(ECB)は23日、定例理事会を開き、政策金利とその他の政策手段を据え置くと発表しました。昨年9月に発表された金融緩和パッケージ(マイナス金利の深掘りと量的金融緩和の再開等)の効果を見極めます。
声明文では、基調的なインフレ率が緩やかながら上昇しているとされています。これを確認するため、ユーロ圏の統合消費者物価指数(HICP)の「修正後コア指数」を見ると、2019年12月は前年同月比+1.2%でした。2012年12月以来7年ぶりの高水準です。修正後コア指数は、コア指数(食料、タバコ、エネルギー除く)の中の、サービス品目の一部(外泊費、航空・水上旅客サービス)のブレが大きいため、当該品目も除いた指数です。全品目の66.3%をカバーします。
インフレ率が、ECBが目標とする+2%弱を大きく下回ることに変わりはありません。ただし、金融緩和の効果などで、ユーロ圏の景気は年後半に向け回復していくと予想され、インフレ率もそれに応じ、緩やかに上昇に向かうことが考えられます。ECBが金融政策スタンスを変更するとすれば、それを確認した後ということになるため、年内の政策変更の可能性は低いと見込まれます。
景気回復に応じてユーロに上昇余地も
ーロ相場は弱含みです。対ドルでは1ユーロ1.10ドル台半ば、対円では121円前後と、昨年末比では1%前後下落しています。米国との貿易摩擦激化への懸念に加え、足元では新型ウイルス拡散への不安で市場がリスク回避的となっており、円>ドル>ユーロの流れとなっています。
目先は、上記の材料を背景に神経質な動きを余儀なくされそうです。一方、中長期的には、景気が持ち直してくるのに応じて徐々にユーロの見直しが進み、年後半には上昇する余地が出てくると予想しています。
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