ユーロ圏の12月物価・11月雇用~金融政策、為替相場の展望
2020/01/10
<投資信託>
- 12月HICPは総合、コア共に前年同月比+1.3%でした。傾向的にインフレ率は緩やかに上昇しています。
- 11月失業率は7.5%と横ばい傾向が続いています。景気減速を受け、雇用環境は足踏み状態です。
- ユーロ相場は持ち直していますが、当面は安値圏で推移し、年後半に上昇基調に転じると見ています。
インフレ率は実質的には7年ぶり高水準
Eurostat(EU統計局)が発表した12月のHICP(統合消費者物価指数)は、総合が前年同月比+1.3%(前月比+0.3)、コアが同+1.3%(同横ばい)でした。この中で、動きの大きい外泊費と旅客運輸サービスを除く「修正後コア」を見ると、11月時点で同+1.2%と、2012年12月以来約7年ぶりの高水準でした。ごく緩やかながら、インフレ率の上昇が示された形です。ただし、ECB(欧州中央銀行)の目標である+2%弱を下回る状況は変わりません。
また、同日発表された11月の失業率は7.5%と前月比横ばいでした。最近半年は7.5-7.6%で行き来しています。失業者数も前月比で増減を繰り返し、傾向的には微減にとどまっており、これまでの景気減速で雇用環境は足踏み状態となっています。ECBは、9月に金融緩和パッケージ(マイナス金利深掘り、量的金融緩和再開等)を発表して以来、政策変更はありませんが、2020年は上記のような物価環境、雇用環境の下、政策効果を見極めるために様子見を続けると見込まれます。
ユーロは年後半に上昇基調へ
ユーロ相場は昨年秋以降、対ドル、対円で持ち直しています。世界的に金融緩和が進行する中で、景気先行き不安が和らぎ、市場のリスク選好が改善し、ドル高が一服したことが影響しました。
2020年のユーロ相場は、年前半はこれまでの景気減速の影響が残り、一旦上昇は一服、1ユーロ1.1ドル前後で推移すると見込まれます。しかし、年後半はユーロ圏でも景気の改善がよりはっきりとしてくるほか、欧州特有の政治リスクの減退も加わり、上昇基調に転じると予想しています。
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