ユーロ圏の10月物価・9月雇用~ユーロ相場の展望
- 10月HICPは総合が前年同月比+0.7%と下振れしました。コアも同+1.1%と低位が長期化しています。
- 9月失業率は7.5%、過去値の上方修正で最近半年はほぼ横ばい、雇用環境改善は足踏み気味です。
- ユーロは政治リスク減退で反発しており、今後は金融緩和の景気刺激効果による後押しが待たれます。
景気減速の影響が表面化
Eurostat(EU統計局)が10月31日に発表した10月のHICP(統合消費者物価指数)は、総合が前年同月比+0.7%、コアが同+1.1%でした。総合は、エネルギーが同-3.2%とマイナス幅が拡大し、下振れしました。コアは、全般的に小さな動きにとどまり、前月比+0.1ポイントでした。コアは2017年以降+1%±0.3%の範囲で推移しており、低位が長期化しています。
また、同日発表された9月の失業率は7.5%と前月比横ばいでした。7、8月の値が0.1ポイント上方修正され、最近半年は緩やかな低下からほぼ横ばいへと傾向が変わりました。また、失業者数も5~8月が上方修正され、失業者数が「順調な減少」から「微減」へと傾向が変わりました。なお、9月単月では前月比+3.3万人、単月の増加幅としては過去5年間で最大でした。雇用環境は、景気減速を受け、改善が足踏みしてきていると判断されます。
金融緩和の効果待ち
ユーロ・ドル相場は、10月は反発に転じ、月半ばには2ヵ月半ぶりに1ユーロ120円の大台を回復しました。世界的に相次いで金融緩和が実施され、景気下振れリスクが減退していること、EU(欧州連合)離脱協定案が英国とEUとで合意に達し、政治リスクが減退したこと、などが影響したと見られます。
9月にECB(欧州中央銀行)が実施した金融緩和は、ユーロにとって金利面ではマイナスですが、雇用、物価環境を改善させ、ユーロ資産への安心感を高め、投資資金を呼び込むことにもつながります。金融政策の効果が表れるまでに半年から1年程度かかるといわれ、当面は政治的な動きに影響を受けざるを得ないものの、中長期的には持ち直し傾向となることが期待されます。
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