日銀短観9月調査について~年度後半の景気は?

2019/10/01
  1. 業況判断DIは、消費税増税後を警戒して非製造業の先行きが弱く、製造業は中小に弱さが見られます。
  2. 企業業績に弱さが見られます。設備投資はわずかに上方修正ながら、雇用不足感がやや後退しました。
  3. 駆け込み需要の反動は前回増税時より小さく、景気は緩やかながら拡大が続くと見込まれます。

消費税増税との景気落ち込みを警戒

本日、日銀が短観(全国企業短期経済観測調査)の9月調査を発表しました。注目度が高い大企業製造業の業況判断DI(最近)は、前回(6月)調査比-2の+5でした。前回調査でのDI(先行き)が+7でしたので、やや弱い動きです。また、今回の先行きは、最近に比して-3の+2でした。中堅、中小企業はマイナス圏に低下してきており、業況はより弱くなる方向と見られています。

一方、大企業非製造業は同-2の+21でしたが、前回の先行きが+17でしたので、底堅い動きです。消費税増税前の駆け込み需要が顕在化した様子がうかがわれます。一方、先行きは大企業が+15、中小企業が+1と、今回の最近に比してそれぞれ-6、-9と低下しました。これは、消費税増税の影響を警戒したものと見られます。

また、今後の為替相場に対する企業の想定は前回調査よりもやや円高に振れました。6月調査時点の想定よりも、実際の為替相場が円高に振れたためです。ただし、今のところ、1ドル110年を中心として上下5円程度の範囲内で推移するとの見方は変わっておらず、為替相場の動きが企業業績に大きな影響を与えることは予想しにくい状況です。むしろ、景気減速自体が企業業績を抑制するとの見方がもっぱらではないかと思われます。

企業業績の先行きに慎重

経常利益、設備投資の2019年度計画(全規模全産業)は、経常利益は下方修正、設備投資は上方修正と明暗が分かれました。9月調査のパターンは、景気拡大期ならば双方上方修正ですが、経常利益の下方修正が続いたことから、景気が減速する方向が示唆される動きです。

こうした動きは2016年度以来です。当時は、原油価格急落(2014年7月~2016年2月)に人民元切り下げショック(2015年8月)が重なり、2015年初め~2016年前半に景気が減速しました。しかしその後、米大統領選挙(2016年11月)でトランプ氏が当選し、積極財政が打ち出されたため、企業業績が2017年に入って好転し、当初は減益予想だったものが増益で終わりました。今回も、次回、次々回調査でプラスに転じるかどうかがカギです。

設備・雇用の強い不足感は変わらず

設備と雇用の不足感は引き続き強い状況です。ただし、今回の調査はその度合いがやや後退した感があります。生産・営業用設備判断DIは、前回調査比横ばいの-3でした。前回調査の先行きは-4でしたので、不足感は事前の見方ほど強まりませんでした。これに対して今回の先行きは-4なので、設備の不足感が強まるという見方は変わっていません。

また、雇用人員判断DIは同じく横ばいの-32でした。前回調査の先行きは-35でしたので、雇用の不足感もそれほど強まりませんでした。ただし、こちらも今回の先行きは-35と雇用の不足感は強まる方向と見られています。また、中堅・中小企業でより不足感が強く、先行き不足感がさらに強まる度合いが大企業よりも深刻な状況は変わっていません。雇用環境はまだ改善傾向が続きそうです。

消費税増税で、駆け込み需要に対する反動減はあるものの、財政による対策がすでに打たれており、2014年4月の増税時ほど振れは大きくならないと見込まれます(増税幅が2%と小さくなったことも影響)。日本が早期に金融緩和に踏み切る可能性は今のところ低いものの、米欧で実施された金融緩和の影響が、今後世界の景気を下支えすると見込まれ、日本の景気も緩やかながら拡大方向が続くと予想されます。

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