ブラジルの金融政策(9月)~レアル相場の展望
- 政策金利は5.5%に引き下げられました。低インフレと構造改革進展で緩和スタンスが強化されました。
- 年内に追加利下げされる可能性が出てきました。それでもインフレは安定が続くと予想されています。
- 構造改革の進展は潜在的な成長力を押し上げ、レアルは中長期的観点から割安感があると考えます。
経済のインフレ体質是正への期待を考慮か
ブラジル中央銀行(以下、中銀)は、9月17-18日のCopom※で、政策金利のSELIC◇金利を6%から5.5%に引き下げました(全会一致)。7月30-31日の前回会合に続く利下げで、累積で利下げは1ポイントとなり、過去最低を更新しました。安定したインフレ環境が続いていること、構造改革が進捗していることを受け、緩和を強め、景気刺激に資する姿勢です。
中銀のサーベイによると、政策金利は2019年末で5%(2020年は横ばい)となっています。中銀はこれを前提にインフレ率を想定しています。8月のCPIは前年同月比+3.4%と、引き続き目標の中心(現在+4.25%)を下回っていますが、2019年末、2020年末もそれぞれ+3.3%、+3.6%と低位で安定すると想定しており、年内に追加利下げを実施する可能性が出てきました。これは、ボルソナロ政権下で年金改革法案の成立がほぼ確実な情勢で、さらに税制改革、国営企業改革へ踏み込む気運になっており、中銀も経済のインフレ体質の是正に期待を高めていることを反映していると考えられます。
※Copom(Comitê de Política Monetária):金融政策委員会 ◇SELIC(Sistema Especial de Liquidação e Custódia):決済・預託特別システム
レアルの割安感強い
レアル相場は、8月初めの米中貿易摩擦再燃で、市場のリスク回避指向が強まったことから大幅に下落し、その後の戻りも限定的です。アマゾン熱帯雨林での相次ぐ火災をめぐり、環境保護を前面に出して対策を迫る欧州と主張が対立、ボルソナロ大統領が国際的に非難を浴びていることも一因にあると見られます。
一方、構造改革を通じて、ブラジルの成長力が向上するとの判断から緩和を強めたことは、実際にブラジルの景気を上向かせ、ブラジルへの投資妙味を高めると考えます。目先は利下げの継続で下落する局面もあると思われますが、中長期的にはレアルの割安感が強まっているのではないかと考えます。
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