米国雇用統計(2019年8月)~金融政策と市場への影響をどう見る?
2019/09/09
<投資信託>
- 8月NFPは前月比+13.0万人でした。雇用の増勢鈍化が、民間中心に前月より鮮明化してきました。
- 一方、賃金は堅調です。雇用の増減を反映した総賃金の伸びが高まり、消費を下支えしたと見られます。
- 景気減速の実態に応じて、金融当局の緩和姿勢が維持されれば、市場は前向きになると思われます。
賃金は底堅いものの伸び代は小さい
9月6日、米労働省が発表した8月の雇用統計(速報)では、非農業部門雇用者数(NFP)は前月比+13.0万人でした。安定的な雇用増加ペースを示す月15~20万人の維持が危うくなっています。幅広い業種で雇用の増勢鈍化が見られ、特に今回は、連邦政府による国勢調査要員の一時雇用が含まれ、実質的には10万人程度の増加幅にとどまったと見られます。
雇用者数の動きは、ISM(全米供給管理協会)が発表した企業の景況感指標を構成する雇用指数が、いずれも低下したのとほぼ整合しています。
一方、賃金は引き続き堅調でした。民間企業時間当たり平均賃金は、前年同月比+3.2%と+3%台を維持しました。今回は特に、雇用の増減を反映した総賃金が同+4.4%となり、足元の個人消費を下支えした見られます。ただし、ここまでの雇用の増勢から、さらに伸びが高まる可能性は低いと思われます。
景気の実態に対する当局の姿勢が重要
ドル・円相場は、足元は107円近くに持ち直しています。米中貿易交渉再開報道のほか、雇用統計の内容が弱いと市場に受け取られ、9月17-18日のFOMC(米連邦公開市場委員会)で追加利下げの確度が高まり、景気の先行き不安の後退も影響したと見られます。株価も上昇しました。
雇用指標をはじめとして、景気減速の流れが、これからも様々な経済指標に表れてくると予想されます。今後も景気実態に応じて緩和姿勢が維持されれば、市場は前向きに反応すると考えられます。追加利下げに加え、今後の金融政策スタンスが重要と考えます。
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