ユーロ圏の8月物価・7月雇用~金融政策とユーロ相場への影響は?
- 8月HICPは総合が前年同月比+1.0%、コアが同+0.9%と、景気がもたつく中、低位が続いています。
- 7月失業率は7.5%と前月比横ばいでした。ドイツが史上最低を更新したほかは全般横ばいでした。
- 秋にも金融緩和の公算大で、利下げあれば景気回復期待でユーロの持ち直し局面もあると思われます。
景気減速の影響が域内全般に
Eurostat(EU統計局)が8月30日に発表した8月のHICP(統合消費者物価指数)速報は、総合が前年同月比+1.0%(前月比横ばい)、コアが同+0.9%(同横ばい)でした。生鮮食品上昇がエネルギー低下で相殺され、総合への影響はほぼフラット。コアは財、サービス共にほとんど動きなしでした。景気減速が続く中で、インフレ圧力が高まる兆候はなく、低位での推移が長引いています。
また、同日に発表された7月の失業率は7.5%と前月比横ばい(金融危機後最低)でした。失業者の減少幅が縮小しています。主要国は、ドイツが前月比-0.1ポイントの3.0%と史上最低更新、スペインが13.9%と10年8ヵ月ぶりの14%割れとなった一方、イタリアは前月比+0.1ポイントの9.9%とまちまちでした。また、25歳未満の失業率が前月比+0.1ポイントの15.6%に対し、25歳以上は同-0.1ポイントの6.7%と、若年層が不利になる景気減速期のパターンが現れました。インフレ率も雇用環境も、景気減速の影響がユーロ圏全体にじわじわ出てきている感があります。
利下げ伴う金融緩和になるかがカギ
ユーロ・ドル相場は、2017年5月以来の1ユーロ1.1ドル割れと、ユーロ安が進行しています。対円では、円高・ドル安も加わってより大きなユーロ安となっており、2017年4月以来の1ユーロ116円台です。
米中貿易摩擦や英国のEU(欧州連合)離脱問題、イタリア政局の混乱など、政治リスクの増大が背景にあります。一方、景気減速で金利低下期待が強まっていることも影響しています。市場は、年内に0.25ポイント程度の利下げを想定しています。金融緩和実施の可能性は高く、利下げを伴うものならば、景気回復期待からユーロが持ち直す局面もあると思われます。
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