ブラジルの2019年4-6月期GDP~今後の市場展望
- 実質GDPは前年同期比+1.0%、前期比年率+1.8%と回復しました。内需の回復が主導しました。
- 2019年も+1%台の低成長が続くものの、今後は金融緩和の効果で成長率は上向くと見込まれます。
- 年金改革の成立が近付いています。構造改革の進捗は国の信用を高め、投資妙味を高めると考えます。
年後半は回復へ
8月29日、IBGE(ブラジル地理統計院)が2019年4-6月期実質GDPを発表し、前年同期比+1.0%、前期比年率+1.8%と回復しました。前期比は1-3月期のマイナスからプラスに転じました。
実質GDP成長率(前年同期比)に対する寄与度では、内需中心に回復が見られました。個人消費は前期の+0.9%から+1.1%へ、固定資本投資は同じく+0.1%から+0.9%へいずれも回復し、内需主導で成長率を押し上げた形です。外需はマイナス寄与ですが、輸入が前年同期比+4.7%と、前期の同-2.5%からプラスに転じたことが影響しました。内需回復と在庫削減の進捗が輸入の押し上げ要因になったと見られます。
アムンディでは、2019年の実質GDP成長率を+1.3%と予想しています。年前半の成長率が+0.7%にとどまったことが影響しています。一方、ブラジル中央銀行が7月31日に利下げに踏みきったことで、年後半は金融緩和の景気刺激効果による、成長率の押し上げが期待されます。
改革進捗と金融緩和が投資妙味高める
夏場のブラジル金融市場は政治リスクに振り回される展開となっています。8月初めに米政府が対中輸入の追加関税を表明したことから、投資家のリスク回避指向が強まり、新興国通貨全般が売り込まれた一環でレアルも下落しました。7月末時点で1レアル28円台半ばで底堅く推移していたものの、現在は25円台半ばと10%以上下落しています。
一方、年金改革法案が8月7日に下院を通過し、9月にも成立すると見込まれます。今後、税制改革、国営企業改革なども推進される方向にあります。これらの改革が進捗すると、ブラジル経済のネックであったインフレ体質の改善につながり、国の信用を高めると期待されます。金融緩和による景気刺激効果も合わせ、中長期的な投資妙味が増していると考えています。
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