ユーロ圏の8月景況感について

2019/08/27 <>
  1. ユーロ圏の8月景況感指標はかなり弱い動きでした。市場参加者は景気後退をも視野に入れ始めました。
  2. 製造業の弱さは、世界貿易の減速に加えて在庫が積み上がり、減産を余儀なくされている面もあります。
  3. 世界的な金融緩和傾向から企業景況感は次第に改善し、ユーロ安傾向に歯止めが掛かると思われます。

目立つ製造業の弱さを個人消費が下支え

ユーロ圏の8月景況感は、全体的にはかなりに弱い動きでした。22日にIHS Markitが発表したPMI(総合)は、前月比+0.3の51.8と持ち直しました。製造業、サービス業共に上昇しました。しかし、26日にCESifoが発表したドイツ企業景況感指数(ifo指数)は同-1.5の94.3(2015年=100)でした。Ifo指数は、欧州債務危機で景気後退期にあった2012年11月(94.2)以来の低水準です。ユーロ圏PMIとifo指数が対照的な動きであることから、ドイツの企業景況感の弱さが際立っています。

一方、ZEW指数(期待)は前月比-23.3の-43.6でした。2011年12月以来の低水準であり、市場参加者はユーロ圏の景気後退をも意識した状況になっています。センティックス経済信頼感指数(総合)も同-7.8の-13.3と、やはり欧州債務危機の時期に匹敵する水準です。ユーロ圏の主要国は現在、軒並み在庫削減を迫られている状態となっており、鉱工業生産は当面抑制を余儀なくされそうです。底堅い個人消費が何とか景気を下支えする展開が年内続きそうです。

※ZEW指数:ドイツの調査機関ZEW(欧州経済研究センター)がアナリスト、機関投資家、市場関係者へのアンケート調査から算出  ☆センティックス経済信頼感指数:ドイツの調査会社センティックス社が個人投資家、機関投資家に対するアンケート調査を基に算出


景気にプラスの政策姿勢がユーロを下支え

ユーロ相場は弱い展開です。米中貿易摩擦の激化、英国のEU(欧州連合)離脱問題の影響もさることながら、夏場以降は、景気先行き不安の影響も大きくなっているとみられます。

9月12日にECB(欧州中央銀行)理事会が予定されており、金融緩和に踏み切る可能性が高まっています。実現すれば景気先行き不安を和らげると予想されます。金融緩和は本来ユーロ安要因ですが、現在は景気先行き期待を高める政策がユーロ高に作用すると思われます。

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