インドネシアの金融政策(2019年8月)~今後の市場展望
2019/08/23
<投資信託>
- 政策金利は0.25%引き下げの5.5%でした。安定した経済情勢を受け、2会合連続で利下げしました。
- 中銀は依然緩和スタンスですが、追加利下げは米金融政策等に照らし、慎重に判断すると見込まれます。
- 為替相場、株価は新興国の中では比較的落ち着いてします。投資資金の流入が下支えすると考えます。
安定した経済・市場動向受け景気を優先
インドネシア銀行(BI、以下、中銀)は21-22日に定例理事会を開き、政策金利であるBIレート(7日物レポ金利)を0.25%引き下げ、5.5%としました。2会合連続の利下げです。インフレ率が中銀の目標圏内で安定していること、対外収支が総じて改善していること、為替相場も比較的安定していることなどから、景気重視のスタンスで利下げが妥当と判断されたもようです。
7月のCPIは前年同月比+3.32%でした。中銀は2020年の目標については+3±1%と、2019年から0.5ポイント引き下げましたが、それでも目標圏内での推移です。また、4-6月期の経常収支が84億ドルの赤字(対名目GDP比-3.0%)と悪化したものの、直接投資等の海外からの資本流入が増加し、総合的な収支バランスは改善しました。中銀は緩和スタンスを維持していますが、米国の金融政策や為替相場、投資資金の流入状況に照らし、慎重に判断していくと見込まれます。
市場の不安定さは金融緩和で次第に減退
為替相場、株価は、米中貿易摩擦再燃で世界的に市場が動揺する中、8月は下落しています。ただし、ルピアの対ドル相場は年初以来、ほぼ1ドル14000~14500ルピアの範囲で安定しています。また、JCI指数(ジャカルタ総合株価指数)は、8月22日時点で7月末比-2.3%ですが、新興国全体では4%近く下落しています。
景気先行きと政治リスクへの懸念から、世界の資本市場は当面不安定な情勢です。しかし、金融緩和によって、景気下押しリスクは徐々に減退し、投資資金流入の持続が期待されます。ルピア相場、株価の下値リスクは小さいと考えます。
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