英国の金融政策について~インフレレポートとポンド相場の行方
- 金融政策委員会(MPC)は政策金利を0.75%に据え置きました。安定したインフレの下で様子見です。
- 四半期インフレレポート(QIR)では、合意なきEU離脱を意識し、利上げから利下げへと想定を変えました。
- ポンド相場は悲観論を織り込む流れですが、方向は一様ではなく、中長期的に構えることが肝要です。
Brexit対策の利下げを示唆
イングランド銀行(英中央銀行、以下、BOE)は7月30-31日に金融政策委員会(MPC)を開き、政策金利を0.75%に据え置きました。CPIがインフレ目標(+2%)近辺で推移し、景気もほぼ安定していることを受けた判断です。しかし、合意なきEU(欧州連合)離脱のリスクが高まり、足元でポンド安、金利低下が進行していることを警戒しています。
また、同日BOEが発表した四半期インフレレポート(QIR)では、Brexit(英国のEU〔欧州連合〕離脱)による経済の混乱を警戒する姿勢がうかがわれました。これまで、先行き利上げを想定していましたが、今回は利下げの想定に変化しました。合意なきEU離脱のリスクが高まったことで、2020年前半にかけて景気下押し圧力が強まることを前提としたものです。ただし、利下げやポンド安の影響で、その後の景気持ち直しとインフレ率は、5月時点よりも高くなると想定しています。
合意なきEU離脱を織り込む動きだが・・・
ボリス・ジョンソン新首相は、EU離脱期限の10月末までに、EUとの合意があってもなくても離脱に踏み切る意向を示しています。ポンド相場は合意なき離脱を織り込む方向にあり、Brexit決定後の安値(1ポンド1.2ドル割れ、125円割れ)を意識した動きと見られます。
大きなイベントの前は、概して、市場は悲観シナリオを先行して織り込みに行く傾向があります。特に政治的なイベントの場合は、市場に与える影響が不透明なケースが多く、より慎重になりがちです。今後、Brexit決定後安値を割り込む可能性は否定できませんが、過度なポンド安に利下げが加われば、QIRの想定どおり、英国景気の持ち直しが期待されます。その場合、2017年のようにポンドが反発する局面もあり得ると考えられます。相場の上下の振れは大きくなっても、離脱後の想定も含め、平均的な水準で見ることが肝要と考えます。
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