インドネシアの金融政策(2019年7月)~今後の市場展望
- 政策金利は0.25%引き下げの5.75%でした。米利下げの確度が高まり、早々の利下げとなりました。
- インフレ安定、対外収支改善など、金融緩和できる環境が整っており、安定成長の持続を狙います。
- 市場のリスク選好が高まって新興国の投資環境が改善し、通貨、株価共に底堅い展開が予想されます。
満を持しての動き
インドネシア銀行(BI、以下、中銀)は17-18日に定例理事会を開き、政策金利であるBIレート(1週間物レポ金利)を0.25%引き下げ、5.75%としました。政策金利の変更は2018年11月以来です。前回会合でルピア預金準備率を引き下げ(7月1日実施)、金融緩和スタンスを鮮明にしていましたが、ここに来て米国が利下げを実施する確度が高まり、世界経済の先行き不安が後退したこともあり、早々の利下げ実施となりました。
また、国内的に金融緩和を可能にする環境が整ってきたことも背景にあります。インフレ率は中銀が目標とする+3.5±1%の中心を下回る推移が続いており(6月CPI〔消費者物価指数〕は前年同月比+3.28%)、中銀は今後も低位での推移を予想しています。また、インドネシアへの直接投資、証券投資が回復するなど、対外収支が改善しています。これらの情勢を受けて、今回の利下げは満を持しての動きと見られ、追加利下げの可能性もあると考えます。
市場のリスク選好高まる
ルピア相場は、足元は1ドル13900ルピア近辺と、1月以来のルピア高水準となっています。また、代表的な株価指数であるJCI指数(ジャカルタ総合指数)は、5月に急落した後、大きく反発しています。金融緩和期待が景気先行き不安を後退させたことが最も影響したと見られます。また、米国の対中関税強化やメキシコへの関税導入がいずれも回避され、政治リスクが後退し、市場の安心感が高まったことも背景にあると思われます。
世界的な景気下押し圧力の後退は、市場のリスク選好を高め、新興国全般に投資資金流入を促しつつあると考えられます。本来、利下げはルピア安要因ですが、内外経済の環境改善で、むしろ利下げの景気刺激効果への好感の方が影響が大きい情勢です。このような投資環境の改善により、ルピア相場、株価共に、当面は底堅い展開が期待されます。
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