2019年7月の豪金融政策~豪経済・豪ドル相場の展望
- 政策金利が1.0%へ引き下げられました。2会合連続です。景気を刺激してインフレ率上昇を目指します。
- 良好な雇用環境に対して住宅市場の不振が深刻化し、個人消費鈍化への対策という側面があります。
- 利下げに加え、減税法案成立の公算が高まっており、年後半の豪経済を下支えすると期待されます。
景気下振れ圧力を警戒
2日、オーストラリア〔豪州〕準備銀行(以下、RBA)は定例理事会で、政策金利のキャッシュレートを0.25ポイント引き下げ、1.0%としました。2会合連続の利下げです。
RBAは声明文の中で、景気の不透明感が強まっていることを強調しました。良好な雇用環境は維持されているものの、賃金の伸びは低く、住宅市場の不振が深刻化し、個人消費をさらに減速させるリスクが高まっていると指摘しています。また、米中貿易摩擦の激化で、世界貿易の停滞が長引き、国内景気に影響することも懸念材料に挙げています。全豪住宅価格指数は5期連続で前期比下落し、2019年1-3月期では前年同期比-7.4%となっています。利下げによって家計の住宅関連負債の負担を軽減し、個人消費と住宅投資の回復を促すことが期待されます。
今後は金融、財政両面で景気刺激か
豪ドル相場は、景気減速を背景に軟調な展開が続き、一時1豪ドル0.68米ドル台まで下落しましたが、現在は0.7米ドル近辺を推移しています。
5月の総選挙で勝利した、与党連合のモリソン政権が公約として掲げていた減税の関連法案が成立する公算が高まっています。今後は金融緩和に財政出動が加わり、豪経済を下支えすることが期待されます。政府の表明では、減税規模は10年間で1580億豪ドルです。中間所得層向けですが、世帯当たりに引き直すと年間1900豪ドル(約14万円)程度の減税となります。市場では追加利下げを予想する向きもありますが、ひとまず減税法案の成立が待たれるところです。
ところで、鉄鉱石相場の高騰が続いており、豪経済の下支え要因として期待されています。現在1トン119米ドル、約5年ぶりの高値です。過去の過剰投資の反省で、関連産業の投資はそれほど伸びておらず、国内経済への恩恵は今一つですが、さえない豪ドル相場を支えると考えます。
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