アムンディ・ヨーロッパ通信~ギリシャ総選挙プレビュー

2019/06/14

政権交代の公算大

ギリシャというと、4年前に反緊縮財政を掲げるSYRIZA(急進左派連合)が政権を奪取し、Grexit(ギリシャのEU離脱)という造語が生まれるなど、大きな風を巻き起こしたことは記憶に新しいところです。ところが、5月の欧州議会選挙で最大野党のND(新民主主義党・中道右派)に敗北し、党首のチプラス首相は議会の解散を大統領に要請、受理され、7月7日に総選挙が実施されます。これまでの世論調査によると、NDが過半数を獲得し、政権が交代する公算大です。NDは穏健な保守主義政党で親EUです。

財政再建終え国民は安定求める

政権を奪取したSYRIZAは結局、EUとIMF(国際通貨基金)による緊縮財政の要請に従って財政再建を進め、2018年8月に金融支援が終了しました。ギリシャは2016年半ばに景気が底打ちし、2017、2018年と2年連続で財政黒字となりました。しかし一方、リーマンショック前の景気のピーク時から、1人当たりGDPは最大25%減少し、失業率は7.3%から27.8%まで上昇しました。財政再建のために国民が払った犠牲はあまりにも大きく、ようやく経済の安定を取り戻した今、国民が政治にも安定を求めるのは、ある意味当然ではないかと思われます。

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