6月の豪金融政策について~豪ドル相場の行方
- 政策金利が1.25%に引き下げられました。景気、インフレの下振れや政治リスク増大が考慮されました。
- 国内では、雇用環境は良好ながら住宅市場の不振から、消費マインドが冷え込むことが懸念されます。
- 豪ドルは、追加利下げへの思惑や米中通商交渉の展開をにらみつつ神経質な展開が予想されます。
景気、インフレの下振れを確認
本日、オーストラリア〔豪州〕準備銀行(以下、RBA)は定例理事会で、政策金利のキャッシュレートを0.25ポイント引き下げ、1.25%としました。安定した景気、インフレ率を背景に長らく据え置きが続いていましたが、2年10ヵ月ぶりの利下げとなりました。
RBAは声明文の中で、利下げに至った背景として、内外双方の経済情勢の不透明感の増大を挙げています。国内では、2018年10-12月期の実質GDP成長率が前年同期比+2.3%と、RBAの見通しを0.5ポイント近く下回り、CPI(消費者物価指数)も、2019年1-3月期が前年同期比+1.3%とインフレ目標の下限(+2%)を大きく下回りました。また、全豪の住宅価格は、2018年10-12月期は前年同期比-5.1%と過去15年で最大の下落率となり、消費マインドを冷やすことが懸念されています。加えて、米国が対中輸入に対する関税を強化し、米中の対立が深まったことから、世界貿易の不振が長引き、景気を下押しするリスクが増大しています。
RBAは、5月9日に発表した金融政策の四半期報告で、2019年の実質GDP成長率とCPI上昇率を下方修正しており、情勢を確認した上で、利下げに踏み切ったと見られます。
追加利下げ観測くすぶる
豪ドル相場は、5月の上旬以降、1豪ドル0.7米ドルを割り込み、利下げを織り込みました。足元では対米ドルでやや持ち直しているものの、市場は追加利下げも意識しており、目先は頭が重そうです。米中通商交渉も懸案で、当面、市場は神経質な展開が予想されます。
一方、景気対策を背景に中国の鉄鋼生産が増加しており、鉄鉱石相場がほぼ5年ぶりの高値となっています。豪州は世界最大の鉄鉱石産出国であり、輸出増加や資源関連投資の活発化が景気を下支えし、豪ドルへの逆風を和らげると期待されます。
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