欧州議会選挙の結果について
- 欧州議会選挙は、大勢としては右派の躍進と左派の後退、中道がほぼ横ばいという結果となりました。
- 政治会派別で見ると、左派右派共に多数会派の後退と同時に、急進的な主張の会派が伸長しました。
- 政治状況に大きな変化はないと見込まれます。ユーロ相場は政治リスクの緩和で底堅くなると考えます。
多数・穏健会派後退&少数・急進会派躍進
23-26日に欧州議会選挙が実施されました。これまでの集計に基づく開票結果(速報)によると、中道勢力が最大議席数を維持しました。一方、左派が後退し、右派が躍進しました。ほぼ、事前の世論調査通りの議席配分になったと見られます。
ただし、政治会派別の勢力図は変化がありました。中道勢力最大会派の欧州人民党(EPP)の議席が減少した一方、同じ中道勢力で、EPPよりも改革指向が強い欧州自由民主同盟(ALDE)が議席を増やしました。左派勢力は最大会派の社会民主進歩同盟(S&D)が大幅に議席を減らした一方で、やや主張が急進的な緑の党・欧州自由同盟(Green/EFA)、欧州統一左派・北方緑の左派同盟(GUE/NGL)がその一部を埋める議席増となりました。右派勢力はほぼ全体的に議席が増えました。右派会派(3会派)はいずれも現在のEU(欧州連合)体制に疑義を唱えるEU懐疑派です。
中道勢力と中道左派(S&D)(両者合わせて「穏健会派」とした)を合わせると過半数(376議席)を超えるため、基本的に、議会内の政治状況が大きく変化する可能性は低いと思われます。ただし、EU懐疑派の影響力が増したことを受けて、EUの政策スタンスがやや右傾化し、EUの政策に反映される(各国の主権をより尊重、移民政策の厳格化など)可能性は否定できません。
懸案は相変わらずくすぶるが・・・
ユーロ相場は、景気減速や英国のEU離脱問題などへの市場の懸念からさえない展開ですが、足元は若干戻し、約10日ぶりに1ユーロ1.12ドルを回復しました。大きな政治イベントを終えたことで、政治リスクがその分緩和されたためと考えられます。メイ英首相が辞任を発表したことや、対米輸出自動車に対する関税強化の問題など、まだ政治リスクはくすぶっているほか、景気先行き不透明感も払拭されたわけではなく、さえない展開は相変わらずですが、底堅さは以前よりやや増したと考えます。
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