英国の2019年1-3月期GDP~景気とポンド相場の関連性
- 実質GDP成長率は前期比年率+2.0%でした。輸入増による外需のマイナスを内需がカバーしました。
- EU離脱は期限内に実施の公算大で、初期は混乱するものの、比較的早期に正常化すると見ています。
- ポンド相場はかなり厳しいシナリオまで織り込まれたと見られ、一時的なものを除けば底堅いと考えます。
企業活動の悪化に歯止め
10日、ONS(英国家統計局)が発表した2019年1-3月期の実質GDPは、前期比年率+2.0%でした。前年同期比は+1.8%でした。年明け後、景気が持ち直しました。前期比年率に対する寄与度は、外需(輸出-輸入)が-8.3%と大幅マイナスであったのに対し、内需が堅調で+10.3%と、さらに大きなプラスでした。
内需の寄与度は、個人消費が+1.7%であったほか、固定資本投資が同+1.4%と前期のマイナスからプラスに転じました。また、在庫投資が前期の+0.2%から+6.3%へ大幅拡大しました。在庫投資のプラス寄与が大きく、成長率上昇を幾分割り引いて見る必要はあるものの、個人消費が底堅かったほか、固定資本投資は民間企業の機械設備投資が増加したと見られ、EU(欧州連合)離脱を警戒した企業の設備投資慎重化がやや和らいだ感があります。EU離脱は10月末の期限内に実施されると見込まれ、初期には混乱で減速する可能性はあるものの、底割れリスクは小さいと予想しています。
悪材料は織り込み済み?
ポンド相場は、最近1カ月では1ポンド1.29~1.32ドルのレンジを上下し、大きな動きは見られません。EU離脱後の英国経済の姿はまだ見通せず、不透明感は強いままですが、意外に底堅い動きとなっています。
2016年6月の国民投票でEU離脱を決め、一時、ポンドは底なしに下落するという見方まで出ました。しかし、ポンド安で輸出競争力が向上して景気が回復し、政治要因だけで通貨が一方的に変動するとは限らないことが分かりました。ポンド高(安)⇔景気減速(加速)の図式が認識され、英議会が混乱してほとんど機能まひの状態になっても、ポンドが大きく売り込まれることはありませんでした。いずれにしても、ポンドはEU離脱をめぐるかなり厳しいシナリオまで一旦は織り込んだと見られ、今後も政治的な混乱で一時的に下落する局面はあっても、基本的には底堅いと考えます。
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