5月の豪金融政策について~政策スタンスと今後の豪ドル相場
- 政策金利は1.5%に据え置かれました。住宅価格下落、低い賃金の伸びから個人消費が不透明です。
- 雇用環境は依然良好ですが、インフレ目標到達に十分といえず、RBAは今後の動向に注目しています。
- RBAが緩和姿勢に傾斜したことで豪ドルには逆風も、好調な鉄鉱石相場が支える展開と見ています。
据え置きも先行き不安は強まる
7日、オーストラリア〔豪州〕準備銀行(以下、RBA)が定例理事会を開き、政策金利であるキャッシュレートを1.5%に据え置きました。2016年8月の利下げ以来、据え置きは2年9ヵ月に及んでいます。豪州でも景気先行き不透明感が拡大しており、事前の市場予想では1.25%への引き下げが多数派でしたが、今回は見送られました。
RBAは声明文の中で、最近の経済情勢について、雇用環境は良好で、資源産業の新規投資が増加していると評価しています。一方、賃金は増加しているものの低位な伸びにとどまっていること、住宅価格の下落が深刻化していることから、個人消費の先行きを不安視しています。今回の理事会では政策金利を据え置いたものの、インフレ率の目標到達のためには景気拡大の促進を要するとし、今後の動向を注目していくとしています。状況次第では利下げに踏み切ることをほうふつとさせる姿勢と見られます。
4月23日に発表された1-3月期のCPI(消費者物価指数)は前年同期比+1.3%と、2年半ぶりに+1%台前半に低下しました。原油安の影響が強く、コアは+1.4%と前期に比べて小幅な低下にとどまっていますが、いずれにしてもインフレ目標からは遠のきました。
利下げ観測くすぶる
豪ドル相場は引き続き小動きながら、足元では一時1豪ドル0.7米ドルを割り込むなど、上値の重い展開です。市場の利下げ予想に対して据え置きとなったことで7日は上昇したものの、今後も利下げ観測がくすぶり、豪ドルは頭を抑えられやすいと見られます。
これに対して、中国の景気対策効果への期待で鉄鉱石価格が上昇し、2014年8月以来の1トン90米ドル台に乗せてきたことは、世界最大の鉄鉱石産出国の通貨である豪ドルには追い風です。当面は金利面での厳しい状況を下支えすると考えます。
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