4月の米国雇用統計~金融政策スタンスと今後の雇用情勢は?
2019/05/07
<投資信託>
- 4月NFPは前月比+26.3万人と堅調でした。賃金が底堅い一方、就業者減から総賃金は鈍化しました。
- 景気先行的な雇用指標は今回は好調でした。趨勢はまだ横ばい圏で、増勢を取り戻すかが注目点です。
- 景気重視の金融政策もあり、年前半は雇用増勢が鈍化しますが、年後半は持ち直すと見込まれます。
景気拡大の基盤に変化?
米労働省が発表した4月の雇用統計(速報)は、非農業部門雇用者数(NFP)は前月比+26.3万人となり、3ヵ月ぶりに20万人超の増加ペースを取り戻しました。人材派遣業の増勢回復が目立ち、雇用全般の先行指標(半年程度先行)であることから、雇用の先行きに安心感を与えます。ただし、人材派遣業の雇用者数は18年12月のピークは下回っており、さらに増加して増勢を取り戻すかが注目点です。
民間企業時間当たり平均賃金は前年同月比+3.2%と、依然として堅調でした。ただし、労働時間、就業者数を加味した総賃金は、18年10-12月をピークに鈍化しており、1-3月期の個人消費減速の一因になったと見られます。雇用環境は総じて良好ながら、部分的には足元の景気減速につながる動きも見られます。
金融政策の景気重視「度合い」に敏感に反応
ドル・円相場、米株式相場は、金融当局が利上げ休止と連邦準備銀行(連銀)の総資産削減停止と、スタンスが景気巡視にシフトしたことを好感し、ここまで堅調に推移してきました。
こうした中、足元では、景気重視の「度合い」に市場が神経質になっています。パウエルFRB(米連邦準備理事会)議長が利下げを指向していない旨の発言で、株価が下落した一幕がありました。景気減速が当面続くと見込まれる中、利下げへの市場の期待はくすぶると思われます。それでも、景気重視へのスタンス変更が比較的早期に行われたこともあり、年前半は雇用増勢が鈍化するものの、後半は持ち直すと考えます。
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